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「平家物語 巻の七」のあらすじと概要

2011年12月24日  参照回数:

 平清盛が死に、源義仲が挙兵し、いっぽうで、平宗盛が内大臣に昇進するという平家の落日の前兆が語られた「巻の六」を受けて、「巻の七」では、平家10万の大軍が倶利伽羅峠の戦いで源義仲に大敗し、平家が京・福原を焼き捨てて、船で西海へ落ちていく様子が語られます。

 「巻の七」の内容を振り返ってみたいと思います。

 「巻の七」ではまず、冒頭で源頼朝と源義仲の確執に触れられています。確執の原因や詳しい内容は語られないのですが、挙兵したばかりの義仲にはまだ軍事力が集まっておらず、関東を掌握していた頼朝はすでに万単位の軍隊を自由に動かせる状況にあることが見て取れます。頼朝は実際に10万騎で長野県の善光寺まで義仲追討のために出兵します。頼朝のおどし(?)に屈した義仲は、二心無きあかしに、嫡子の清水冠者・源義重を人質として鎌倉の頼朝へ送りました。

 頼朝との確執を説いた義仲は軍事力を高めていきます。いっぽう、平家は全国に触れを出し、10万の軍勢を召集しました。北国の義仲をまずたたき、その後、東国の頼朝をたたく戦略を立てます。

 「巻の七」では、源平の運命を分けたともいえる一大決戦がメインになっています。

 平家は

大手:7万騎(平維盛)
搦め手:3万騎(平忠度)

 で北陸に軍を進めました。源氏は

大手:4万騎(源義仲)
搦め手:1万騎(源行家)

 で迎え撃ちます。

 義仲は、正面からのいくさでは数に勝る平家に敵わないとみて、大手4万騎を6手に分けて、平家の主力7万騎をほんろうします。夜になってから、倶利伽羅谷の底へ平家の大軍を追い落としました。搦め手では、源行家がさんざんにやられていましたが、義仲が精鋭2万騎でかけつけ、火の出るように攻め立てて、搦め手のいくさでも勝利をつかみました。時代が平家から源氏に傾いたことを誰しもが感じた一戦でした。

 頼朝との確執を説いて、すでに越後の平家勢力を殲滅していた義仲には、後顧の憂いはありません。いよいよ義仲は、北陸道からの上洛を模索します。しかし、道中には、比叡山延暦寺がありました。義仲は、比叡山を滅ぼすのはたやすいが、それでは仏敵・平家の二の舞ではと苦心します。一族郎党を集めた詮議の場ではかると、源氏に同心するよう比叡山に牒状を送ってみてはどうかという意見が出ました。延暦寺からは源氏に味方する旨の返牒が届きました。

 義仲が5万騎の大軍を率いて上洛してくるといううわさが流れ、さらに、それまで以仁親王の呼びかけで園城寺三井寺や奈良興福寺が平家に反旗を翻しても中立を保ち続けた比叡山延暦寺が、いよいよ平家に反旗を翻し、比叡山の大衆3000も、義仲軍といっしょに都へなだれ込んでくるといううわさが立ちます。都の平家には、数千の軍隊しか残されていませんでした。

 こうなってしまえば、人々の心は平家から離れ、後白河法皇はとっとと平家を見捨てて、姿をくらましてしまいました。義仲の軍が具体的に動き出したという話は語られないのですが、うわさだけで、平家は崩壊していきます。いよいよ安徳天皇を奉じて、都を捨てるという段になって、一族の重鎮・平頼盛(清盛の子、平家の棟梁宗盛の弟)が源頼朝との縁を頼りに平家を捨て、平家譜代の有力家臣・平貞能も平家の行き先を悲観して東国へ逃げました。平家は、京の都と福原を焼いて、船で西海に漕ぎ出しました。

 平家物語「巻の七」では、源義仲、平宗盛、平維盛などと並び、清盛の弟である平経盛の嫡子・平経正の姿も語られます。経正は、琵琶の名手で、琵琶の名器「青山(せいざん)」を賜っていたのですが、都落ちに際して、このような至宝を西海の塵にしてしまうのは惜しいと、仁和寺にいる恩師に「青山」を託していきました。北陸の戦いで討ち死にした平家の侍・斎藤実盛の心意気に、義仲が感心する場面も。

 また、和歌集の勅撰がある際はどうか自分の歌を載せてほしいと、都落ちに際して、書き溜めておいた歌100首を藤原俊成(定家の父)に託していった平忠度のうしろ姿には、平家物語「巻の八」以降で語られる、平家の落日の物語が暗示されています。


「巻の一」のあらすじ

「巻の二」のあらすじ

「巻の三」のあらすじ

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