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「平家物語 巻の十二」のあらすじと概要

2012年2月16日  参照回数:

 「祇園精舎の鐘の声」ではじまる「平家物語」。平清盛の嫡孫平維盛の嫡子・六代御前(三位禅師)が切られることで終わります。平正盛、平忠盛、平清盛の活躍で隆盛をほこった平氏ですが、「平家物語」の本編は、清盛嫡流の平氏が永久に滅亡したことが語られて、終わります。

 「巻の十二」のあらすじを追ってみたいと思います。

 「巻の十二」は平清盛の5男・平重衡が切られることではじまります。一の谷の戦いで生け捕りにされ、鎌倉で源頼朝と面会し、伊豆の国に置かれていた重衡ですが、以仁親王・源頼政らが謀反を起こした際に園城寺三井寺に呼応して反平家の旗を上げた奈良興福寺を攻め、興福寺をはじめとし、東大寺大仏殿や南都の多くの寺社を焼き払っていました。焼き討ちは、重衡・清盛が命じたことではなく、平家軍が夜のいくさで暴走したとのことですが、奈良の大衆は重衡を仏敵として恨んでおり、頼朝に重衡を渡せと申し出ました。

 奈良へ行くことになった重衡ですが、北の方の大納言佐殿(すけどの)が、奈良近くの日野という場所で世を忍んで暮らしていました。大納言佐殿は、壇の浦では、三種の神器の鏡が入った箱を海に投げようとしましたが、源氏に取り押さえられ、自身も海に身を投げましたが、源氏に引き上げられました。重衡には子がなかったので、北の方に会いたいと申し出て、護衛の武士たちも岩や、木ではありませんので、許しました。お互いに涙にくれた再会をはたし、重衡は奈良で切られます。大納言佐殿は出家しました。

 源氏の世になり、国は国司に従い、荘園は領主に従い、交通の安全も確保されるようになりました。人々の往来が活発になります。その矢先、元暦2年(1185年)7月9日、大地震が発生しました。法勝寺の九重の塔の上の六重が落ち、得長寿院の三十三間堂の17間が崩壊したという規模です。人々は不安に陥りました。

 「巻の十二」では、源義経の追放も語られます。梶原景時の讒言により、頼朝の不興を買った義経ですが、頼朝は、都へ、義経暗殺の刺客・土佐房昌俊を送ります。しかし、義経が寵愛していた静御前らの活躍で暗殺を阻止し、土佐房は義経に切られました。頼朝は弟で義経にとっては兄の源範頼に義経追討を命じます。軍を率いて出陣することになった範頼ですが、出陣のあいさつの際に、頼朝から、お前も義経のようになるなよ、と釘を刺されました。範頼はその言葉に恐怖し、出陣を取りやめ、頼朝に二心がない起請文を盛んに書きました。しかし、ついに、範頼は、頼朝に切られてしまいました。

 都では、義経がいったん九州に逃れることにしました。九州の有力武士・緒方維義を味方につけ、後白河法皇には、鎌倉軍が入ってきたら都が混乱に陥るのでと告げます。後白河法皇は、九州の武士たちは皆、義経に従うようにという院の庁の下文(別の個所では、頼朝追討の院宣とも)を出しました。義経は500騎を引き連れて船で出発しましたが、大風・大波に遭い、船団はばらばらになりました。義経は、奈良、吉野、京都などを通り、北国路を経由して、奥州の藤原重衡に身を寄せました。後白河法皇は、義経に院の庁の下文を出した数日後に、頼朝の要請により、義経追討の院宣を頼朝に出しました。

 平時忠はじめ、都に残っていた平家一門が流罪になります。頼朝の命令を受けた北条時政が軍を率いて上洛し、義経なきあとの都を守護します。頼朝の命令で、平家の残党狩りが行われ、平家の男子はすべて殺すようにという命令が実行されます。密告により、平清盛の嫡曾孫の12歳の六代御前も身柄を拘束されました。しかし、頼朝に後白河法皇が出した平家追討の院宣を届け、頼朝の父・源義朝のされこうべを頼朝に渡した文覚が、六代御前の身柄を預かることになりました。

 六代御前は出家して、修行と供養の日々を送ります。しかし、30歳を過ぎた時に、ついに、頼朝の命令で命を絶たれました。清盛が築き上げた平氏政権の名残の平家一門は、永久に滅亡したことが語られて、「平家物語巻の十二」は終わります。



(389)建礼門院

(390)建礼門院の大原入御



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「巻の二」のあらすじ

「巻の三」のあらすじ

「巻の四」のあらすじ

「巻の五」のあらすじ

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「巻の七」のあらすじ

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