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(266)猫間中納言光高

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登場人物:猫間中納言光高、源義仲、根井小弥平

 征夷大将軍の院宣を源頼朝へ下す使いとして鎌倉に行っていた泰定が、都に戻ってきました。参院し、院の庭に畏まり、関東の様子をつぶさに伝えました。後白河法皇は大いに感じ入りました。公卿も、殿上人も院に来て、「どうして頼朝はそうゆゆしいのだろう」と感心しました。今、都を守護している源義仲は頼朝とはまったく似ていません。色白で見た目こそうるわしいのですが、立ち振る舞いは無骨で、しゃべり方もいやしく、2歳から30歳になるまで信濃の国の木曽という片山里に住み暮らしていましたのでそれも仕方のないことかもしれません。

 そのころ、猫間中納言光高という人がいました。義仲に頼みがあったので参上した時、義仲の郎党が「猫間殿が参りました」と、義仲に告げました。

 義仲は「猫が人に対面するのか」と大笑いしました。郎党が、「来たのは、猫間中納言殿という公卿の方です」と言うので、義仲は「それならば」と会いました。

 義仲は「猫間殿」と言えず、「猫殿が食事時に珍しく参られたので、ごちそうせよ」と臣下に命じました。猫間中納言は、「どうして今、食事など」と断りましたが、義仲は、塩魚に対して生魚を「無塩(ぶえん)」と呼ぶので、新しい物は何でも「無塩」と呼ぶものと思い、「無塩の平茸がある。持って来い。早く、早く」と急がせました。根井小弥平が配膳しました。底が深い巨大な田舎茶碗に飯が山盛り積まれていました。3品の惣菜がついていて、平茸の汁が出てきました。

 義仲の前にも同じものが出ました。義仲は、はしを取って食べ始めましたが、猫間中納言は、茶碗が汚れていたのではしをつけませんでした。義仲は、「汚いと思いなさるな。それは義仲の精進用の茶碗です。さあ、さあ」と勧めました。猫間中納言は、悪いと思ったのか、茶碗を取り、食べたふりをしてからはしを置きました。義仲は大いに笑い、「猫殿は小食なことよ。猫の食い散らかしはうわさにも聞こえる。かき込みたまえ、かき込みたまえ」と急かしました。猫間中納言は、このような様子に万事、興ざめしてしまい、頼みの件は何も言わずに、急ぎ退散しました。

(2012年1月9日)


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