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ミニシアター通信平家物語 > (142)平等院の戦い、その7 〜源頼政の最期〜

(142)平等院の戦い、その7 〜源頼政の最期〜

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 源頼政は、渡辺長七唱(とのう)を呼び出し、「わが首をうて」と命じました。しかし、唱は、生きたまま自分の主の首をうつことの悲しさに、「命じられても、できません。自害なさったのちならば、首をうちましょう」と言いました。

 頼政は、なるほどと思ったのでしょうか、西の方角へ向かい手を合わせて、声高く、南無阿弥陀仏と10回唱え、最期の詞として、

  埋れ木の花さく事も無かりしに

    身のなる果(はて)ぞ悲しかりける

 と詠んだことは哀れです。

 頼政は、この詞を最後に、太刀の先をわが腹に突き立て、太刀を貫き、うつぶせになって死にました。

 最期におよんで歌を詠むなどはとうていできることではありませんが、頼政は、若いころからひたすら好いた道でしたので、最期の時も忘れなかったのです。

 頼政の首は、唱がとり、石に括り付け、宇治川の深い所に沈めました。

 平家の侍たちは、なんとしても滝口の武士・競(きおう)を生け捕りにしようと探し回りましたが、競のほうでもあらかじめ心得ていて、競はさんざん戦った末、痛手をさんざん被り、腹を掻き切って死にました。

 円満院の大輔・源覚は、すでに以仁親王がはるか遠くまで逃げ延びたと思ったのでしょうか、大太刀と長刀を左右の手に持って、敵の中を掻き分け、宇治川へ飛び込みました。

 源覚は、着けていた鎧を一つも捨てない状態で、水底を潜って、向こう岸に渡りました。高い場所に走り上り、大音声をあげて、「どうだ平家の君達、ここまで渡ってくるのが大儀なのか」と言い捨てて、三井寺へ帰りました。

(2011年11月25日)


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