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ミニシアター通信平家物語 > (144)以仁親王の首検分

(144)以仁親王の首検分

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 平家の人々は、源頼政の一族、渡辺党、三井寺の大衆、都合500人あまりの首を切って、太刀・長刀の先に貫き、高く差し掲げ、夕べになって六波羅に帰ってきました。兵どもが勇みたつことは、はなはだしい有り様でした。

 その中でも、源頼政の首は、長七唱(となう)が宇治川の深い場所に沈めたので、見えませんでした。しかし、頼政の子どもたちの首は、ここかしこに尋ね出されていました。

 ただ、以仁親王の首は、日頃から以仁親王のもとへ参上する人がいなかったので、顔を見知っている人がいませんでした。

 典薬頭定成は、先年、治療のさいに召されていましたので、顔を見知っているに違いないと呼び出しをしましたが、病気中ということで、来ませんでした。

 六波羅から、日頃、以仁親王が寵愛していた女房が、尋ね出されてきました。以仁親王の子を多数産むなど契りが浅くはないので見誤ることはないだろうと目されていました。女房は、一目見て、袖に顔を押し当てて、涙を流しました。そのため、以仁親王の首だとわかりました。

(2011年11月28日)


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