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30歳の誕生日を迎えた山本一慶インタビュー、主演舞台「Run For Your Wife」から「2.5次元舞台」を守っていく責任感まで

2019年7月6日 15時00分 参照回数:



山本一慶(写真:竹内みちまろ、ヘアメイク:瀬川なつみ)

 2019年6月1日に30歳の誕生日を迎えた俳優の山本一慶が主演を務める舞台「Run For Your Wife」が、7月27日(土)から31日(水)まで、東京・三越劇場にて上演される。

 同作は、イギリスの人気劇作家レイ・クーニー原作。重婚を隠して2人の妻(花奈澪、七木奏音)との楽しい生活を送っていたタクシー運転手のジョン・スミス(山本)が、事故に巻き込まれたことにより2人の妻の間を行き来するスケジュールが狂ってしまい、重婚を隠し通すために嘘に嘘を重ねて大騒動に発展してしまうドタバタコメディ。

 山本にとって、同作は30代になってから初めて挑む作品で、かつ、コメディも、夫婦の物語に夫として出演するのも初。

 山本にインタビューを行い、「Run For Your Wife」にかける意気込みから、30代の抱負、“2.5次元舞台”への想いまで、語ってもらった。

−重婚を隠して暮らす男という設定が目を引きますが、台本を読んで、どう感じましたか?

 2人の女性と結婚してそれを隠す……という設定だけを聞いた段階では、ジョン・スミスは「最悪の男かな」と感じたのですが、台本を読んだときは、ジョン・スミスに頑張ってほしくなってしまいました。ジョン・スミスが結婚した2人の女性はどちらも力強い女性で、「浮気なんて問題外!」という感じの女性です。その2人に、ジョン・スミスは尻に敷かれているようなイメージを受けます。読んでいて、この2人には「重婚がばれたら最悪だな、なんとか隠してほしい」と。なぜか応援してしまうような、憎めないキャラクターです。

−ジョン・スミスのどういったところに“憎めなさ”を感じたのでしょう。

 僕自身も、女性に対して亭主関白でいられないとでもいいますか、「あれ、持って来いよ」などとは言えないタイプなのですね。どちらかといいますと、「今日も、綺麗だね!」とか、「今日も、かわいいよ!」と下手に出てしまいます(笑) 

 重婚を成功させるためには、亭主関白な性格の方がやりやすいと思います。ただ、ジョン・スミスは、お姫様扱いではないですけど、女性を丁寧に、丁寧に扱います。その姿勢がこの作品の設定の中にある“危うさ”のようなものを作り上げているのだと思いますが、「ジョン・スミスよ、お前は、女性に対して強く言えないんだよな」と思ってしまいますし、無理して女性に対して強く出ても、普段からそうはしていないので、ぜんぜん効果がありません。ただ、ジョン・スミスは、重婚を隠すためではありますが(笑)、いたって真面目に、頑張っています。そこが愛くるしいし、頑張ってほしくなってしまいます。

−コメディ初挑戦ですが、どんなイメージで演じる?

 「Run For Your Wife」は上質なコメディで、人間の思考だったりを踏まえたうえで後から効いてくるような笑いだったり、“計算されたすれ違い”を目の当たりにする楽しさがあります。演じる側としては、かみ合っていないという表現を完璧にかみ合わせなければなりません。すごく難しいことだと思いますが、台本を読んだだけで「洗練されている」と感じたので、それを肉体で表現したときに、どれだけ楽しい作品になるのだろうと、今から楽しみです。

−夫役の経験は?

 設定上の既婚者役はやったことがあるとは思いますが、“ザ・夫婦”、“ザ・パートナー”という芝居はやったことがありません。最初は、恥ずかしくなっちゃうと思います(笑) いきなり妻が2人だし(笑) そこのプレッシャーも大きいかなと思います。

−30歳になって初めての作品が、初コメディ&初夫婦役という大きな挑戦になりましたね。

 何か運命的なものを感じています。6月1日に30歳になって、その日に写真集を発売できたのですが、写真集の発売記念イベントで、ファンの方の「Run For Your Wife」への期待値がものすごく高いことを感じました。

−30代の抱負をお聞かせ頂きたいのですが、まずは、役者としての10代、20代はどんな時間でしたか?

 19歳になる年から芸能活動を始めさせて頂いたのですが、あっという間に20歳になりました。10代は分からないことだらけで終わりました。

 20代は常に悩みましたし、ターニングポイントもたくさんありました。“泣く泣く選択”もあったし、“挑戦の選択”もありました。そういったひとつ、ひとつのことが、いい方向に転んできた20代だったのではないかなと思います。

−30代に突入し、心境に変化は?

 30代になって、若い世代の子たちが出てきて、その子たちに刺激を与えられる先輩でありたいと思い始めるようになりました。

 舞台の世界は、経験を積み重ね続けることが難しい現状ではありますが、経験を積むことがすごく楽しいです。20代後半のころからなのですが、そんな現状の中で、10年以上積み重ねてきたものを僕たちの世代がしっかりと、後の世代に見せてあげないといけないのかなという責任感が出てきました。

 初対面の若い子は、「28歳です」や「29歳です」と言われるのと、「30歳です」と言われるのでは、響きが違ってくると思います。「30歳です」と言われると、「この人、30代なんだ」と思って一歩引いてしまうといいますか、かしこまってしまうところがあると思います。同時に、「この30代の先輩は、どういう姿勢で、どう取り組んでいるのだ」ということを見られると思います。なので、取り組んでいる姿を責任を持って見せていかないといけないなという責任感も生まれてきています。

−30代の抱負をお願いします。

 ここ数年で舞台の世界では、「2.5次元」という新しいジャンルが定着してきました。今は、文字やマンガをはじめ、色々な表現があり、アニメーションだったり、CGだったりという技術も進化しています。そんな進化を受けて本も進化し、その進化を取り入れ、舞台自体もまた進化しています。僕は、「2.5次元」はもっと、もっと、広がるものだと思っています。

 愛されているコミックを舞台化することは、シェイクスピアの名作を舞台化することと同じで、ごく普通のことだと思います。ただそれが舞台になると、「2.5次元」あるいは「2.5次元舞台」という言葉でくくられてしまい、ジャンルで分けられてしまっています。僕は、それはすごくもったいないことだと思っていますが、表現の多様化や、技術などの進化をもっと柔軟に受け入れたときに、「2.5次元舞台」は、もっと可能性が広がると思っています。

 僕は、そんな「2.5次元舞台」の進化の一角を担える存在になれたらと思ってやってきましたし、これまでやってきたことは間違っていないと思っています。なので、そう思って役者を続け、これからも続けて行く姿を若い子たちに見せていきたいなと思います。また、「2.5次元舞台」に誕生から、もしくは誕生直後から関わってきた世代として、「2.5次元舞台」という世界を守って、広げて行かなければいけないという責任も勝手ながら感じ始めています。お客様にも「いいものなんだよ」とさらに伝えたいですし、若い子たちにも「いいな」って思ってもらえるようにできたらと思います。

−最後に、舞台「Run For Your Wife」を楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。

 「Run For Your Wife」は、「上質な笑い」という言葉がぴたりとはまるような作品で、観終わったときに、噛み締めるような面白みが沸いてくると思います。絶対楽しい作品なので、楽しみにして頂けたらと思います。

(インタビュー・文・写真/竹内みちまろ)


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山本一慶(写真:竹内みちまろ、ヘアメイク:瀬川なつみ)



山本一慶(写真:竹内みちまろ、ヘアメイク:瀬川なつみ)



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