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(58)善光寺

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 そのころ、信濃の国の善光寺が炎上しました。

 善光寺の如来像は、三国無双の霊像です。その如来像は、かつて、中天竺毘舎離国に流行った、目口耳鼻頭から膿が出るという五種の悪病が多くの人僧の命を奪ったとき、毘舎離国を統治した五百長者の首領・月蓋(がっかい)長者の呼びかけにより、竜宮城より閻浮壇金という砂金を得て、釈迦と釈迦の弟子で神通第一といわれた目連長者が協力し鋳造した、一ちゃく手半の弥陀の三尊です。

 釈迦の入滅の後、天竺に500年あまりあり、仏法が東に伝えられると共に、百済国に移り、一千年の後、欽明天皇の時代になって、百済の聖明王によって、わが国へもたらされ、摂津の国の難波の浦に鎮座されました。常に金色の光を放ち、そのため、年号を金光と号しました。

 わが国にもたらされた年の3月上旬、信濃の国住人・大海の本田善光(ほんだ・よしみつ)が都へ上り、如来に逢い、お誘いしました。昼は善光が如来を背負い、夜は善光が如来に背負われて、信濃の国へ下りました。水内郡に安置しました。

 如来像が信濃に安置されてから580年余り、炎上は今回が初めてと聞きます。「王法尽きんとては、仏法まづ亡ず」といいます。それだからでしょうか、ひときわ尊い霊寺霊山の多くが滅び失われるのは、王法が滅びるきざしだろうかとうわさされました。

(2011年10月17日)


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