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(49)鬼海が島

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 そうこうしているうちに、法勝寺の執行で僧都の俊寛、丹波守で近衛少将の藤原成経、判官・平康頼の3人が、薩摩方の鬼海が島(鹿児島県南部の硫黄島か)へ流されました。

 鬼海が島は、都を出て、はるばるの波路を凌ぎ、行き渡る場所にあります。なみたいていのことでは船も通いません。島人はいるにはいますが、衣服を着けず、本土の人とは似ておらず、別の言葉をしゃべります。身には毛が多く、色が黒いことは牛のようです。男は烏帽子も着けず、女は髪もさげません。食べるものがないので、常に、殺生をしています。土地を耕さないので米穀の類もなく、畑を耕さないので桑が取れず、絹などの類のものもありません。

 鬼海が島には高い山があります。とこしえに火を噴いています。硫黄というものが、満ちていました。それゆえに、硫黄が島とも名づけられています。雷が常に鳴り響き、ふもとは雨ばかりです。一日でも、片時でも、生き延びられそうにありません。

(2011年10月14日)


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