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ただ一人残った筑後守・平貞能を、清盛が呼び出し、「重盛は何を思って、西八条の侍たちを呼び集めたのだろう。今朝ここで申したように、この浄海のもとへ討手を差し向けるつもりか」と言いました。
貞能は、はらはらと涙を流し、「そのようなことを申すのは人によりたまえ。重盛殿にかぎってはそのようなことはございません。今朝ここで言ったことを、すでに後悔していさえおられるかもしれません」と涙をはらはらと流しながら言いました。
平清盛は、重盛と仲たがいしては具合が悪いと思ったのでしょうか、法皇を連れ出そうと思う心もやわらぎ、急いで、腹に巻いた鎧を脱ぎ、白い絹衣に袈裟をうちかけて、気乗りもしない念仏誦経をしていました。
(2011年10月13日)
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