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(29)藤原成親の申し開き

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 新大納言・藤原成親は、一間の部屋に押し込められ、汗水を流しながら、「なんということだ。これは常々計画していたことが漏れ、知られたに違いないぞ。誰が漏らしたのだろう。おそらく北面の武士たちの中に犯人がいるだろう」などと思いながら、どうなるのだろうと案じ続けていました。

 後ろから足音が鳴り響き、藤原成親は「まさにただ今、わが命を奪おうと武士どもが来たに違いない」と思いましたが、そうではなくて、平清盛が板敷きを踏みつけながら、成親のいる部屋の後ろのふすまを、さっと引き開けて、姿を現しました。

 清盛は識文のない絹の短い着物姿で、白い大口ばかまを中に押し込めて着ており、聖柄の刀を突き刺し、怒り心頭の様子で、成親をしばらくにらみつけ、言いました。

「そもそも、お前は、平治の乱のときに既に成敗されるべきだったのを、内大臣・平重盛が責任をもって身を預かり、首をつないでもらったことをどう思う。それなのに、その恩を忘れて、なんの遺恨があって、当家を傾けようとするのだ。『恩を知るをもって人』といわれるものよ。『恩を知らざるは畜生』というぞ。しかしながら、当家の命運はいまだ尽きていないので、ここに呼び出したのだ。常日頃の計画の子細を、直接、聞こうではないか」

 藤原成親は、「けっしてそのようなことはございません。誰かの讒言に違いありません。十分にお調べ下さい」と告げました。

 清盛が、「誰かいないか、誰かいないか」と呼ぶと、筑後守・定能がやって来ました。清盛が「西光めが白状を取ってこい」と告げると、定能が持ってきました。

 清盛は、西光の白状を、繰り返し、2、3回、大声で読みあげ、成親に聞かせました。そして、「なんと憎たらしいことよ。かくなるうえは、なんと陳述するのか」と、成親の顔に白状を投げつけました。

(2011年10月11日)


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