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(25)平清盛の激怒

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 平清盛は、一門の筑後守・平貞能(さだよし)を呼び出し、「当家を破滅においやろうとする謀反の輩が、京じゅうに満ちているというぞ。急ぎ、一門の人々へ触れを出せ。侍どもを集めよ」と命じました。

 貞能が触れを出し、右大将・平宗盛(むねもり)、三位中将・平知盛(とももり)、頭中将・平重衡(しげひら)、左馬頭・平行盛(ゆきもり)以下の一門の人々が甲冑を身に着け、弓をとり、清盛の前に集結しました。そのほかにも侍どもが雲かのごとく馳せ集まり、その夜のうちに、清盛の西八条の邸には、ざっと、6、7千騎はあろうかという兵が集まりました。

 明ければ6月1日となりますが、まだ夜が明けないうちに、清盛は、安倍資成を呼び出し、「院の御所へ行き、大膳大夫・信成を呼び出し、たしかに申せよ。『新大納言・成親卿以下、近習の人々に、当家をほろぼし、天下を乱そうとする謀反のくだわてがある。隅々までからめ捕り、処罰を下してくれよう。そのことを院もお知りおきくだされ』とな」と命じました。

 安倍資成は、急ぎ院の御所へ出向き、信成を呼び、清盛の言葉を伝えると、信成は色を失いました。信成は、後白河法皇のところへ行き、そのことを告げました。

 後白河法皇は、「ああ、このものたちが内々に謀っていたことが漏れ伝わってしまったことよ。さるとて、この事態はいかにせん」と思考をめぐらしながら口にしました。ことの沙汰の是非に、返事はしませんでした。

 資成は急ぎ帰り、院での出来事を清盛に伝えました。清盛は、「それならば、行綱は本当のことを言ったのだ。もし行綱が伝えてこなかったなら、この浄海は安穏にしてはいられなかったところだ」と言い、筑後守・平貞能、飛騨守・藤原景家を呼び出し、「当家を傾けようとする謀反の輩を残らずからめ捕れ」という命令を出しました。2百騎、3百騎と、各地に押し寄せ、謀反人たちをからめ捕りました。

(2011年10月8日)

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