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(275)明雲大僧正、円慶法親王の最期

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登場人物:清原親業、今井兼平、高階為清、藤原信行、源光綱、源光経、平基国、雅賢、樋口兼光、明雲大僧正、円慶法親王

 法住寺殿を守っていた後白河法皇方の僧兵、公卿、武士らは、法住寺殿に火を掛けられ、敗走しました。

 院方の主水正(もんどのかみ)清原親業は、薄青の狩衣の下に、萌黄縅の腹巻をつけ、白月毛の馬に乗り、賀茂河原を北に落ちていました。親業に、今井兼平が追いつき、弓で親業の首の骨を射て、馬から逆さまにうち落としました。親業は、太政官外記局にあって内記の作る詔書を勘正したり公文書を読んだりする官・大外記(だいげき)の清原頼業の子です。清原家、中原家の官職となっていた明経道の博士が甲冑を身に着けたのは、親業が最初といいます。

 近江中将・高階為清、越前少将・藤原信行、伯耆守の源光綱、その子で伯耆判官・源光経も射落とされて、首をはねられました。また、義仲に背いて後白河法皇方についた信濃源氏の村上三郎判官代・平基国も討たれました。

 按察大納言・資賢の孫で右少将・雅賢も、鎧に、立て烏帽子姿でいくさの陣に出ましたが、樋口兼光の手にかかり、生け捕りにされました。

 比叡山延暦寺の天台座主・明雲大僧正、園城寺三井寺の長吏・円慶法親王も法住寺殿に籠っていましたが、黒煙が蔓延したので、急ぎ馬に乗り逃げました。しかし、武士たちからさんざん射かけられ、明雲大僧正、円慶法親王ともに、馬から落とされて、首を取られました。

(2012年1月11日)


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