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(258)還俗の宮の沙汰

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登場人物:平時忠、修範、重秀

 平家は筑紫の国にて、高倉上皇の四の宮が即位し、後鳥羽天皇となったことを聞きました。

 平家の人々は、「ああ、三の宮も、四の宮も連れて落ちればよかったものを」と申し合わせましたが、平時忠は「その時は、高倉上皇の御子で、乳母の讃岐守・重秀が出家させて北国へ連れて逃げていた宮がいて、その宮を源義仲が上洛の時に天皇にしようと還俗させて連れてきているので、その宮が皇位についたであろう」と告げました。

 平家の人々は、「どうして還俗の宮が皇位につくことがあろうか」と言うと、時忠は、「それはそうだが、還俗の帝の例は、異国にもある。わが国でも、まず天武天皇がいまだ皇太子だった時に、大友の皇子(天智天皇)に襲われ、出家して吉野の奥に籠ったが、大友皇子を滅ぼして、ついには帝位についた。また、孝謙天皇は、大菩薩心を起こし、出家して法名を法基尼といったが、再び位について称徳天皇となった。いわんや、源義仲が奉じた還俗の宮であれば、子細には及ばない」と答えました。

 寿永2年(1183年)9月3日、伊勢神宮へ公卿の勅使を立てました。勅使は、参議の修範(ながより)といいます。太上法皇が伊勢神宮へ公卿の勅使を立てることは、朱雀・白河・鳥羽3代の先例がありますが、これらは皆、出家前のこと。出家後の例は、今回が初めてといいます。

(2012年1月5日)


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