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(154)園城寺三井寺

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 そもそも三井寺は、元は、近江の義大領の私の寺でした。それを、天武天皇に寄進し、御願寺となりました。本仏も、天武天皇の本尊です。その本尊は、生身の弥勒と称された教待和尚から160年たって、智証大師に譲られたものです。弥勒菩薩は住んでいるという都士多天の摩尼の玉殿から天下り、龍華樹の下で生まれ変わる日を待つといわれるのに、このように平家に攻められて一切が焼かれてしまうというのは、どうしたことでしょうか。

 智証大師は、園城寺三井寺を、伝法灌頂の霊跡として、井戸の初水を3回、掬(むす)び汲んだことから、三井寺と名づけられました。このように、めでたい聖跡ですが、今は何もなくなってしまいました。天台真言の仏法は滅び、伽藍の跡形もありません。真言密教の道場である「三密の道場」もなければ、鈴の響きも途絶えました。夏の修行に供える花もなく、仏に水を盛る音もしない。古老や碩学の名士は行学を怠り、受法相承の弟子は、経教から遠ざかりました。

 園城寺三井寺の長吏・円慶法親王(後白河法皇の子)は、天王寺の別当職も停止されました。そのほか、僧官13人、職を解かれ、みな、検非違使に預けられました。堂衆は、筒井の浄妙明秀に至るまで、30人あまりが流罪となりました。

 人々は、「このような天下の乱れ、国土の騒ぎは、ただ事とは思われない。平家の世が末となることの前触れか」と言いました。

(2011年11月28日)


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