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ミニシアター通信平家物語 > (138)平等院の戦い、その3 〜橋合戦〜

(138)平等院の戦い、その3 〜橋合戦〜

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 浄妙房・明秀は太刀を抜いて戦いましたが、敵は多勢。蜘蛛手、かく縄、十文字、とんぼ返り、水車などで、八方から襲ってきます。

 敵を8人斬り伏せた明秀は、9人目の敵の甲の鉢を強打したので、明秀の太刀が、刀身と柄を貫いて留めている目貫の元から「ちょうと」と折れ、刀身が「くつ」と抜けて、刀身が川へ「ざつぶ」と落ちました。明秀の頼むところは、腰刀のみとなり、明秀は、死を決して、狂い回りました。

 乗円坊の阿闍梨・慶秀が召し使っている一来法師という、太刀の剛の者がいました。

 一来坊は、明秀の後ろに続いて戦っていましたが、橋桁が狭くて、明秀の脇を通って前に出ることができません。

 そこで、一来は、明秀の甲のしころ(甲の左右、前後に伸びている角のような手の先)に手をかけ、「浄妙坊、失礼」と告げ、明秀の肩を「づん」と跳び越えて、前に出て戦いました。

 一来法師は討ち死にしました。

 明秀は、ほうほうの様で帰り、平等院の門の前の芝の上に物の具を脱ぎ捨て、鎧にできた矢跡を数えました。矢後は63あり、裏まで貫通していた矢跡が5か所ありました。

 しかし、明秀は、痛手はありませんでしたので、所々に、灸をすえて、髪の毛をまとめ、白い狩衣を着ました。弓を折って杖にしました。平足駄をはき、阿弥陀仏の念仏を唱えて、奈良を目指して退散していきました。

 その後は、明秀を手本として、三井寺の大衆、源頼政の手の者、渡辺党は、われ先にと橋桁を進みました。ある者は敵の首をあげてきて、またある者は、痛手を負って腹をかき切り、川へ飛び込みました。

 橋の上のいくさは、火が出るほどはげしく見えました。

(2011年11月25日)


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