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(115)湛増の挙兵

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 源行家が以仁親王の平家追討の令旨を東国に伝えていたころ、熊野の別当・湛増(たんぞう)は、平家恩顧の身でしたが、どうしてか、行家の東国下向を聞き知りました。湛増は言いました。

「熊野の新宮の十郎源義盛が、高倉の宮・以仁親王の令旨を賜って、すでに謀反を起こしている。那智新宮の者は必ず源氏の味方をするだろうが、湛増は平家の恩顧を山のように頂いているので、どうして、平家に背くことができようか。矢を一つ打ちかけて、その後、都へ子細を伝えに行こう」

 湛増は甲冑に身を固めた1000人余りを引き連れ、熊野の新宮の港へ向かって出発しました。

 熊野の新宮では、鳥居法眼、高坊法眼、侍には、宇井、鈴木、水屋、亀甲、那智では、執行法眼以下、都合その勢1500人あまりが、ときの声をあげ、矢合わせをして、源氏はここにいるぞさあ討ってこい、平家はここにいるぞさあ討ってこいと、互いの矢叫びの声が拮抗し、鏑矢の鳴り止む暇もなく、3日ほど戦いました。

 しかし、湛増は、家の子、郎党を多く失い、わが身の傷を負い、命からがら、泣く泣く、本宮へ帰りました。

(2011年11月17日)


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