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「平家物語 巻の二」のあらすじと概要

2011年10月17日  参照回数:

 「平家物語 巻の二」は、比叡山延暦寺による強訴の責任をとる形で、天台座主・明雲が解任されたことで始まりました。その頃の延暦寺では、僧兵と呼ばれる荒くれ者たちが学僧たちを追い落としていた様子も語られます。荒くれ僧たちは、勅命で流罪となった明雲を、力ずくで取り戻してしまいました。

 一方、平家打倒の企ても、多田行綱の裏切りにより、平清盛の知る所となり、進展を迎えます。清盛は怒り狂い、西光、藤原成親などの首謀者を処刑します。

 そのような平家にあり、清盛の嫡子・平重盛は、人徳があり、平家打倒の企ての張本人である後白河法皇を「仇を恩で返された」とうならせるほどの人物。諸国の武士や、軍兵も、重盛が号令を出したら、清盛をそっちのけで、重盛のもとへ集結してしまった様子も語られます。しかし、清盛は激情形の人物ではあるようですが、根っからの悪人ではなく、重盛の前でひがんだり、取り残されてしょぼくれたりもします。それでもしかし、自らの権力を堅固にせんがために重盛を追い落とすような発想は持っていないように感じられました。また、少しのことでいたく感じ入り、気前よく、官位を与えたりする様子も語られます。清盛に限ったことではないのかもしれませんが、平家物語の時代の人々は、どろどろの策略などとは無縁に生きていたのかもしれません。死生観、ひとつの命の重みなどは、例えば、人間50年と言われた戦国時代とも、もちろん、現代とも違うのだろうと思えます。

 また、「巻の二」では、平家打倒の企てに参加したかどで、俊寛、藤原成経、平康頼の3人が、薩摩国の鬼界が島へ流刑になりました。康頼、成経は熊野権現を崇め、とくに、康頼は、歌を彫り込んだ卒塔婆を流し、それが、都へ送られたエピソードが語られます。

 平家物語の「巻の一」は「大火災」で終わりましたが、「巻の二」でも、「善光寺の炎上」が語られます。ときは末法の世、平家物語は、いよいよ不穏な雰囲気を漂わせ、「巻の三」へ続きます。


(65)ほうき星(彗星)

(66)死霊、生霊、もののけ

(67)鬼界が島流人の赦し文



「巻の一」のあらすじ

「巻の二」のあらすじ

「巻の三」のあらすじ

「巻の四」のあらすじ

「巻の五」のあらすじ

「巻の六」のあらすじ

「巻の七」のあらすじ

「巻の八」のあらすじ

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