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アイドル経験者はユニドルに何を見た?【女子コラム】

2017年6月21日 13時30分 参照回数:

花色日和

花色日和 (写真:竹内みちまろ、2017年6月12日、新宿ReNYにて)


 2017年6月12日、新宿ReNYにて開催された「UNIDOL2017 Summer supported by MARUCHAN QTTA 関東予選」(6月11日、12日)の2日目3部を見に行きました。

 「UNIversity iDOL」にその名の由来を持つUNIDOL(ユニドル)は、大学対抗の女子大生アイドルコピーダンス日本一決定戦。「普通の女子大生が一夜限りの“アイドル”としてステージに立つ」というコンセプトのもと2012年の第1回に始まったこの大会は、夏の決勝大会に向けて全国5都市で予選大会が開かれる、今もっとも熱い学生イベントの一つ、だそうです。

 私の出身校にはアイドルサークルというのはおそらく無かったので、この大会についてもこれまで知りませんでした。でも、今回の大会、私には少し親近感があります。実は私自身も、時々、都内のライブハウスで歌を歌っていたりして、その昔、ほんの数えるほどの回数ですが、アイドルグループに混ぜてもらってステージで踊ってみたことなんかもあったような……ありました。

 ダンスなんて小学校の体育以来やったこともなく、人様にお見せできるようなものではなかったかもしれない、それでも、みんなで集まってスタジオや公園で繰り返し練習して、同じようにダンス未経験の子と2人で夜までずっと家で振りを覚えたことも、楽しかった思い出。自分にはダンスのセンスは無い気がして歌に専念することにしましたが、やっぱり今でも可愛い女の子たちが踊る姿を見るのが大好きな私は、今回のご依頼にも「はい行きます!」と即答し、今日という日をとても楽しみにしてやって来ました。

 会場に入ると、冷房が効いてしんと冷えた空気は、それでも熱気に溢れていて、オープニングゲストのアイドルさんたちが踊る元気な曲のリズムが体に響きます。

 最前列には、サイリウムやうちわを持って、頭にタオルを巻いたおじさんたち。合いの手も完璧で、普段からアイドルライブに行きなれているのかなと思わせるノリの良さ。その後ろでは、応援Tシャツを着た元気のいい男子学生たちが盛り上がっていて、またそこから少し距離をとって、友達を応援に来たと思われる若い女の子たちが控えめにリズムに乗っている。一般的なアイドルライブだと客層が偏るので、これだけ幅広い層のお客さんが、それぞれの楽しみ方で空間を共有しているというのもなんだか不思議で面白い。

 オープニングが終わり、司会の男性が審査基準など大会の説明をしていき、いよいよ各大学のパフォーマンスが始まります。

 この日のトップバッター、青山学院大学のチーム「花色日和」に始まり、その後も、江戸川大学、成城大学と続き、それぞれ3人~10人ほどのメンバーで構成されたチームの、可愛らしい統一感ある衣装を着た女の子たちが次々と登場していきます。

 持ち時間はそれぞれ7分半、その中に詰め込まれた3、4曲は、かっこいいロック系だったり可愛らしいアイドル曲だったり、衣装も重ね着していて曲の合間に切り替えたりと、一組のステージでもいろんな表情を見ることができ、見ていて全く飽きない。

 後ろのスクリーンには、それぞれのグループ自作の映像も流れていて、メンバーのプロフィール紹介動画になっていたり、コールのタイミングを示していたり、いろんな工夫がされていて、この日のために準備してきたことがうかがえました。

 スモークに伸びるカラフルなスポットライトを浴びて踊る女の子たちの、柔らかい動きと、目元にラメを入れた愛らしいメイク、ふわっとした衣装、まっすぐ前を見てキラキラ光る黒目がちの瞳。

 ダンスだけを見せることが目的ではない、歌を聴かせることも目的ではないパフォーマンスは、とにかく「可愛さ」を見せるためのものだと感じました。こんなに惜しみない可愛さを浴びても大丈夫かと心配になるほど、ステージから溢れ出して降ってくる可愛さを浴びました。

 それぞれのグループの中には、そのままプロのアイドルに混ざっても違和感のなさそうな、容姿も美しく、慣れたダンスを踊る子たちも少なくありません。

 けれど不思議なことに、ついふと目が行ってしまうのは、もしかしたら普段は目立たないタイプかなと思わせるような子や、学校では真面目に勉強をしていそうな感じの子たち。

 大会のコンセプトにもあるように、今日このステージに立っている女の子たちは、普段は普通の女子大生。やっぱり自分に似たような経験があると、単純にパフォーマンスを見ることよりも、今どんな気持ちなんだろう、とか、どうしてこの子はアイドルをやってみたいと思ったんだろう、とか、一人一人の背景に思いを馳せてしまったり。

 よくよく見ていると、1曲目には硬い表情で緊張の見えていた子が、2曲、3曲と踊るうちにだんだんと弾けた笑顔になって、動きにも自信が現れてくるのが感じられて、なんだか小さなドラマが見えた気がして、ちょっと感動してしまいました。

 きっと今日という日が、日常的ではないステージという場所が、彼女たちにとっては輝ける場であって、特別な瞬間なんだろうな。

 私自身、実はもともと目立つのが苦手で、自分に自信なんてないし、いつも「私なんか」って思ってて、放っておくと化粧もオシャレもできないで地味に風景に溶け込んでいるタイプ。

 だけど、ライブの日だけは、服を選んで、可愛くして、ステージに立つ。

 いったんステージに上がってしまったら、もう自分を信じるしかない。

 だって、自信がなくて震えている姿なんて、かわいそうになってしまうし、そんなの誰も見たくない。不安でも、「私は大丈夫。うまくやれる」って言い聞かせて、笑顔を作る。

 私の歌なんてへたくそだ、って、思うこともある。音外してるって気づくこともある、思った声が出ないこともある、けど、それでも「大丈夫」って、自分を信じる。

 だって私を観に来てくれる人がいるんだもの。今日だけは、この瞬間だけは、私が主役。

 そんな場所があることで、自分を認めてあげられるようになって、自分を好きになれる。

 きっとこの子たちにとっても、今日このステージが、そんな場所なんだろうな。今日だけは。

 審査員の人たちは厳しいことも言っていたけど、確かにそうだと思ったしすごく勉強にもなったけど、個人的には、全員に満点をあげたい気持ちでした。

 決勝に進めるチームは限られている。だけど、今日のステージは、戦いであって戦いではない。彼女たちには、しがらみもなく、義務感もなく、きっと「やりたい!」、「楽しい!」という気持ちだけで踊っている。だからこそ、その笑顔に癒される人たちがいるんじゃないかな。少なくとも私はとても癒されて、元気な気持ちをもらいました。

 やりたいこと、大好きなことをやっている姿は、誰だって魅力的。みんなやりたいことをやって、輝けばいい。人目なんて気にしていたらもったいない。いつだって、もう遅いなんてことはない。

 さて、私もまたダンスに挑戦してみようかしら。(みゅう https://twitter.com/rekanoshuto13



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