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バーレスク東京、KUJIRA、PINKの3店舗から始まる“#(ハッシュタグ)飲食店の灯りを消さない”の真意とは

2020年3月21日

 新型コロナウィルスの感染拡大防止にともなう政府の大規模イベント自粛要請を受けて、規模の大小に関わらず、さまざまな音楽イベントやスポーツイベント、記念式典などが開催中止ないしは延期となっている。その煽りを受けて閉店を決めた飲食店や、廃業に追い込まれた事業者も少なくない。また、自粛そのものの必要性を問う議論も、SNSやテレビ、WEB媒体などで日々繰り広げられる。

 そんななか、東京六本木のショークラブ『バーレスク東京』の総合プロデューサーであるRYOTA、新宿歌舞伎町のエンターテインメントダイニングバー『KUJIRA』のコンサルティングを担当する生柄佑樹、大阪心斎橋のナイトクラブ『THE PINK』オーナー七浦隼人が、店の営業続行とともに“#飲食店の明かりを消さないチャレンジ”と銘打った企画をおこなうことを発表した。その内容は、各店舗の従業員に特別ボーナスを支給し、同ハッシュタグとともにその使い道を発信してもらうことで、シーンの活性化を図るというもの。3人がそこにある真意を語った。

――まず、コロナウィルスの感染拡大問題を抱えた経営者としての考えをお聞かせいただけますか?

RYOTA「コロナウィルスの影響で、売上は例年の4割ほど減りました。そんななか、日々ニュースやSNSをチェックすると、ひとまず人が多く集まる場所の機能を止めるべきかどうか、さまざまな考え方があって、それぞれに納得できるポイントも疑問が残る意見もあります。なので、店を開けるべきか閉めるべきか、頭がおかしくなるくらい悩みました。一定期間営業を停止する選択にもポジティブな要素はあると思うんですけど、六本木に根を張って長い期間やってきたバーレスク東京がそうしてしまうと、夜の街全体がネガティブなムードになる可能性のほうが高いような気がするんです。そう考えると、日々刻々と状況は変わりますけど、今は営業を続けるしかないと思っています」

生柄「今回は僕たち個人や店単位だけの問題ではないことは理解しています。いくら感染の拡大防止に努めても、100%安全ではない。また、経営的な視点からいうと、僕の場合は、たとえわずかでも売り上げを出すために営業を続けるのではなく、いったん閉めて何もせず耐える計算も成り立ちます。でも、生活のために必死で働く従業員を守らなきゃいけないし、先が見えない状況のなかで、エンターテインメントスペースや飲食店といった業界全体を、なんとか盛り立てていかなければいけないとも思うんです」

七浦「僕も、考え方は概ね二人と同じで、夜の街を先陣切って走っている有名店が自粛することによって、全体的に自粛の流れを作ってしまうことへの懸念は大きいです。幸いなことに、PINKは多くの方々のご愛好のおかげでしっかり利益を出せているので、ひとまず閉めても問題はないのですが、そうではない店もたくさんあります。景気が低迷して借金が増えることで、これまでの生活が絶たれ、場合によっては命を落とす人も出てくるかもしれない。そこで僕が参考にしているのは、堀江貴文氏の発言です。今、ホリエモン祭りの開催について物議を醸しているところですけど、氏の言う“トレードオフ”という考えに基づいて、営業を続けたほうがいいと、僕は思うんです。もちろん消毒の徹底やマスクの着用など、感染拡大を防ぐためにやるべきことには、全力で取り組みます」

――そこで、“#飲食店の灯り消さない”というハッシュタグを設け、まず従業員にボーナスを支給する企画に踏み切ったのはなぜですか?

RYOTA「こんな状況ですから、店や業界を盛り上げるために、お客様に外出を煽るようなキャンペーンを打つことに対する疑問は払拭できない部分もありますし、リスクもともないます。そこでまず、こんなご時世でも店のことを想って出勤してくれている従業員に、幸せになって欲しいと思ったんです。なので、今回は、最前線で“いらっしゃいませ”とお客様を迎え、接客してくれているアルバイトの人たちを中心に感謝の気持ちを形にしてあげたいと思っています。」

七浦「街を明るくするために、いつも笑顔で店に立ってくれている従業員に対する感謝の気持ちを、こんな時だからこそ表したいんです。使い道は、街の灯りを消さないよう、同業者さんのお店で使ってほしいですね」

生柄「ボーナスを出したことで、事態が悪い方向に進む可能性もあるので、なぜこのボーナスが出ているのか、僕らがどんな想いなのか、そこは責任を持ってしっかりシェアしたうえで、できれば飲食店やエンターテインメントスペースで使ってもらいたい。そして、ハッシュタグを付けてSNSで発信してもらえたら嬉しいです」

――今は事態の収束が見えない状況ですが、この企画の先について、どうお考えですか?

生柄「感染拡大を防ぎ、なおかつ従業員の生活や飲食業界全体を守りたい。立場はそれぞれですけど、思っていることはみんな同じだと思うんです。そのなかで、僕らがやろうとしていることがほんとうに正しいのか、正直断定はできません。でも今は、自分のなかで限りなく正解に近いアクションを起こすしかない。“そうも言ってられない”という否定的な意見があることも重々承知しています。だけど、少しでも賛同してくれる経営者がいるなら、ぜひこの企画に乗っていただきたいと思っています」

RYOTA「生柄が言ったように、僕らの業界だけでなく、経済全体の先が見えない状況のなかで、僕らはこの企画を推し進めるしかないと思っています。不謹慎だと言われるかもしれないけど、今、打撃を受けている場所の最前で働く人たちには、安堵感が必要だと思うんです。身内同士、ひいては業界同士が心と心で繋がることがすごく大切。僕らのようなエンターテインメントスペースは得に、お金に余裕が生まれたときに訪れる方がほとんどです。そうなると、給料が止まって仕方なく離れてしまったお客様が戻ってきてくれるまでには、事態が収束してからもしばらく時間がかかるかもしれません。だからこそ、“#飲食店の灯りを消さない”というワードはすごく重要になってきます。僕らの考えに否定的な方にとっても、何かを考えるきっかけになればいいと思います。」

インタビューを終え、席を立とうとしたところで、生柄が「僕らはとにかくお客様を楽しませたいんです。それしかできないし、四六時中そのことばかり考えています」と言った。大きくうなずく一同。厳しい現状のなかで、少しでも心の開放を求め店を訪れる人々の気持ちに応えたい。今は外出を控えている人々にとっても、事態が収束したときに戻って来られる場所でありたい。そんな気概が伝わってくる瞬間だった。今後この企画がどう転がっていくのか。その動向を引き続き追いかけていきたい。

『バーレスク東京』

東京六本木にあるエンターテイメントショークラブ
#アジア一のショークラブ
https://burlesque-tokyo.com/

『KUJIRA ENTERTAIMENT』
新宿でお食事とお酒、人気パフォーマーによるショーが楽しめる、エンターテイメントダイニングバー
https://kujiraentertainment.com

『THE PINK』
大阪ミナミの進化系クラブ。The pinkは日本のナイトシーンの新たな時代を切り開く、エンターテイメントを追求したスーパークラブ。
http://the-pink.club/


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