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魂の濃厚接触!牧島 輝・いわいのふ健・稲荷卓央・シライケイタ、舞台「オーファンズ」開幕直前インタビュー

2020年11月17日



シライケイタ、稲荷卓央、牧島 輝、いわいのふ健(写真:竹内みちまろ、2020年11月、都内にて) <

 牧島 輝、いわいのふ健、稲荷卓央の3人芝居となる舞台「オーファンズ」が2020年11月18日(水)から11月23日(月・祝)まで中野 ザ・ポケット(東京)にて公演される。

 ライル・ケスラー脚本による「オーファンズ」は、孤児として育ったトリートとフィリップという兄弟の社会の底辺から世の中を見る目線を通じて、観客に様々なテーマを問いかける作品。親を失い、2人きりで育った兄弟の前に突如現れるハロルドは、いわば閉ざされた世界への侵略者とも言うべき存在で、兄弟の価値観を反転させるほどの影響力を持ってやってくる。これまで強固に守られてきた兄弟二人だけの世界に対するハロルドの介入は、現代の世の中における一つの大きな価値観の崩壊を描いており、崩壊した世界の先にある新しい時代の到来を予感させるともいえよう。

 ミュージカル「刀剣乱舞」など2.5次元舞台の人気俳優・牧島(フィリップ)、小劇場界で話題の劇団温泉ドラゴンの中心的俳優・いわいのふ(トリート)、長らく劇団唐組の看板役者として活躍の稲荷(ハロルド)、演出を担当する温泉ドラゴンのシライケイタにインタビューを行い、手応えを語ってもらった。

―出演が決まったときの心境からお願いします。

いわいのふ:牧島君が出演すると聞いていたのですが、25歳ということで、まず年齢のことを考えました。この年齢差で兄妹として追いかけっことかして大丈夫かなと(笑) ただ、現場に入ると、本当に弟みたいな感じでした。牧島君の人柄のおかげです。

稲荷:追いかけっこ、楽しそうに見えますよ(笑)

いわいのふ:楽しいです。年齢関係なく、鬼ごっこって、できるんだなと(笑)

牧島:何回も上演されている舞台なのですが、なかなか映像がないのですね。なので、自分たちで作る「オーファンズ」になると思いました。僕は、いわゆる2.5次元といわれる作品を中心にやらせて頂いているのですが、いわいのふさんも、稲荷さんもそれぞれのジャンルで活躍されている中で、初共演のお二人とどういう化学反応が起こるのかなと楽しみになりました。

稲荷:本当に、知り合う機会がないような3人だもんね。

いわいのふ:共演する人はするのでしょうが、僕たちは業界が分かれているようにも見えます。そういう意味では、「牧島君に“2.5次元との懸け橋”になってもらえたらいいな」ということを話しています。

稲荷:僕は50歳なのですが、これまで、誰かを優しく包み込む父親的な役はやってこなかったのですよね。どちらかというと、自分がトンガって、社会に向けてメッセージを送るんだ…みたいな役が多かったです。なので、ハロルドは挑戦しがいのある役だなと思いました。

―稽古が進んでいると思いますが、役柄についてどう感じていますか?

いわいのふ:演出のシライさんからは直接、キャラクターの演じ方についてのリクエストはなく、稽古の中でみんなで話し合いながら作っています。なので、早くお客さんに観て頂き、どんな感想を持ったのかを聞かせてほしいです。

-いわゆる2.5次元と呼ばれる舞台では“キャラクターありき”な面があると思います。今回は、キャラクターを現場で作りあげているのですね。

牧島:そうですね、2.5次元だと、マンガやアプリなどの原作があり、プロフィールがある場合もあります。その中から情報を集めて、描かれていないシーンを想像で補っていくのですが、2.5次元だと、原作に寄せて行ったり、解釈を広げていったりする楽しみがあります。「オーファンズ」はどの翻訳でやるかによっても変わってくると思いますが、キャストたちによっても変わってくると思います。今回は言葉を交わしながら作っているのですが、人間って少なからずそういうところがあると思います。人間は最初から設定があるようなものでもないとも思いますので、すごく楽しい稽古場です。

-2.5次元舞台とはまた違った意味で、お客さんに届けるのが楽しみという思いはありますか?

牧島:2.5次元だから、ストレートプレイだから、という気持ちはあまりないのですが、「オーファンズ」は名作ということで、演劇が好きな方が観に来てくださると思います。僕はこれまでに上演された作品を観ていないのですが、ぜんぜん違ったものが出来上がっていると思います。「オーファンズ」を観たことがある方はその違いも楽しめるのではと思います。僕も早くお客さんに観て頂きたいのですが、ちょっと怖い…といいますか、緊張しています。

いわいのふ:確かに、怖いよね。

-どんな点が?

いわいのふ:俺たち、どうなんだろうって(笑)3人芝居だし。

稲荷:みんな3人芝居は初めて?

牧島:これまでの中で一番少ないです。

いわいのふ:2人芝居はあるのですが、3人ってないです。3人芝居は、2人芝居よりも難しいかも。割り切れないし(笑)

-この3人でやる舞台は、どんな「オーファンズ」になりそうですか?

稲荷:どうでしょうね。牧島君は“2.5次元”というジャンルでくくられることがあるかと思いますが、僕も“アングラ”と言われるんです。いわいのふさん は“社会派”って最近言われ始めているじゃないですか。なので、どのように観て頂けるのかは分からないのですが、現場で作り上げている作品なので泥臭くなるのかな。

いわいのふ:3人の俳優のそれぞれの人間味が出る舞台になりそうですね。

稲荷:演出もそういう感じに なっていると思います。演出のシライさんから「あなたならこういうときにどうしますか?」、「これまでの人生の中でこういうときはありましたか? そのときどう感じましたか?」と言われることもあります。そんな演出なので、役と同時に、自分自身が出て来たりするかもしれないです。

-牧島さんは、フィリップのどんな点に注目してほしいですか?

牧島:稲荷さんが演じるハロルドと出会ってからは、外の世界を知らなかったフィリップは怒涛の時間を過ごして行きます。フィリップに限らず、男って、“一晩で男になる瞬間”みたいなものがあるじゃないですか。「男にはそういう瞬間があるのだろうな」というイメージで作っていますので、「ここを観てほしい」というよりは、「ここがよかった」という点を探してほしいです。

いわいのふ:そうだね。「自分が演じるキャラクターのここを観てほしい」というよりは、物語を通して、“3人の風”みたいなものを感じてほしいなと思います。

牧島:バチバチにぶつかって稽古をしているので、そこで生まれるものを観て頂きたいです。

稲荷:最後は「生きるんだぞ!」というようなメッセージを残して!

-シライさんの手応えはどうでしょう。

シライ:いい俳優さんが3人集まったのですが、それぞれ役者として育ってきた環境がぜんぜん違うのですね。なので、「吉」と出るか、「凶」と出るかと思っていたのですが、「大吉」に出ました。演技のルールも全然違う3人で、当たり前じゃない組み合わせなのですが、いい意味で化学反応を起こしているので、面白いです。

-稽古の中で「役者として育ってきた環境の違い」を感じたときはありますか?

いわいのふ:「輝は、こんなときにぶっ込んでくるんだ」と感じるときがあります。いつもやっているような仲間だと、ここでぶっ込んではこないだろうというところなのですが、それがポップで可愛かったりします。センスといいますか。

シライ:この戯曲は演出家が自分の世界観で覆いつくしたりしない方がいいんですね。それだけの強度を持った戯曲なんです。なので過去に上演された作品と“パッと見”ではそれほど変わらないかもしれません。ただ、僕たちにしかできない読み方をしているところは絶対にあるし、僕たちしか たどり着いていない部分はきっとあると確信しています。そこを楽しみにして頂けたらと思います。

-最後に、コロナ禍が続いていますが、公演への想いを教えてください。

いわいのふ:稽古に入ってから気づいたのですが、トリートは触られることを嫌がったりするのですね。コロナ禍の今にぴったりの作品だと思いました。同時に、みんなかが持っているはずの感覚に突き刺さる作品になると思います。観終わったあとに、みんなに日常が少しずつ戻ってくることを願っています。

牧島:来る人も不安はあると思いますが、僕たちはコロナ対策を徹底しています。お客さんにも協力して頂き、休憩もありますので、劇場に来たら、コロナを忘れて、全力で楽しんで頂ければと思います。

稲荷:ハロルドは励ますことが多いのですが、こういう時期なので、「励まし合いながら生きて行きましょう!」と伝えたいです。

シライ:“魂の濃厚接触”のお芝居をぜひ、観に来てください!

3人:うまいな~(笑)


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