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「春待つ僕ら」で話題の稲葉友、芽生えた“野心”を語る!

2018年12月13日 1時40分 参照回数:

稲葉友(撮影:竹内みちまろ、都内にて)

 青春映画の傑作「ROOKIES -卒業-」の平川雄一朗監督と、日本中が泣いた「君の膵臓をたべたい」のプロデューサーがタッグを組んだ青春映画「春待つ僕ら」が2018年12月14日に公開される。何をするにも独りぼっちだった“ぼっち女子”の美月(土屋太鳳)がバスケを愛する4人のバスケ男子に出会ったことで大切なものをみつけていく物語だ。

 美月は5人(バスケ男子4人とライバル校の天才プレイヤー1人)のバスケ男子と関わっていくが、注目は、メインキャストとなる4人のバスケ男子の中の1人・瑠衣を演じる俳優の稲葉友(いなば・ゆう/25)。稲葉は2018年には出演映画が4本公開され、年末には民放ドラマ初主演作「平成ばしる」(テレビ朝日/12月28日深夜0:20〜1:20)が、「2018ユーキャン新語・流行語大賞」でトップ10入りを果たした「おっさんずラブ」を生み出したドラマ枠で放送される。

 今、最も注目の若手実力派俳優の1人である稲葉にインタビューを行い、「春待つ僕ら」に掛けた思いを聞いた。

−公開を直前に控えた心境から教えてください。

 作品をやっとみなさまにお届けできるという喜びはもちろんあります。でも、今年の頭から動いていて、春先から撮影を始め、絆のすごく深まったチームになったので、僕たちの手を離れ行くことに何ともいえない寂しさもあります。みんなに観てもらって映画はやっと完成するのですが、でも、何か寂しい……というのが正直な気持ちです。

−迫力のバスケシーンもありますが、スポーツ経験は?

 競技経験でいうと、野球が小学校の6年間、バスケが中学校の3年間、ハンドボールが高校1年生のときの1年間です。足を使うサッカーは遊びでやりますが、あまり得意ではないです。右手で球を投げるほうが好きです(笑)

−役作りで苦労した点は?

 原作が少女漫画なのですが、それぞれキャラクターとしての特徴があり、僕が演じた瑠衣はかわいらしいタイプの末っ子キャラ的な部分がありました。“かわいさ”って何だろうと考えましたし、僕自身がビジュアルからして“末っ子キャラ”から遠いところにいると思いましたので、どれだけ役に寄り添い、自分から役を引き寄せていけるかがすごく難しかったです。

−バスケの練習はどれくらいしましたか?

 1月の頭からキャストで集まって練習を始めました。映画のシーンとしてバスケをやるとなると、ボールの動きも、オフェンスとディフェンスの全部を含めた選手の動きも、あらかじめすべて決めて、殺陣のような形になるのですが、殺陣形式の練習も含めて、2ヶ月間くらいみっちりやりました。4人ともバスケ経験があるので、けっこうレベルが高いものになったと思います。攻守が入れ替わってもカメラを止めずに回し続けたりもしましたので、バスケ映画としてもレベルの高いものに仕上がっています。迫力のあるバスケの試合の場面も見所です。

−4人での撮影はどんな雰囲気だったのかも気になります。

 4人で「いい空気が出せればいいね」と話しました。ごはんも食べに行きましたし、お酒も飲みました。スーパー銭湯にも行きました。

 放課後の帰り道を4人だけで歩くシーンがあったのですが、カメラを回す前の確認の段階のときに、すごくいい空気が出ました。間違いなく学校の帰り道だったし、明日も学校があるし、明日もコイツらに会うし……という芝居ができていました。心の中で「うわぁ、スゲエ! 今のよかった!」と思ったのですが、他の3人もそう思っていたことを知り、感覚を共有でいていると手応えを感じました。

−ご自身の芝居という点で注目してほしい点を教えてください。

 セリフ以外のところでも、細かい芝居を打てるだけ打ちました。僕が演じる瑠衣と杉野遥亮が演じる竜二がふざけ合うシーンがあるのですが、台本には「ふざけ合っている」としか書かれていません。そういうシーンがけっこうあったのですが、使われなくても現場の空気を作り上げ、僕らの後に芝居をする人たちに繋がればいいなと思って、色々とやらせていただきました。完成版を観たら、けっこう使われていましたので、そこも観ていただけると嬉しいです。

−今作での、稲葉さんの挑戦は?

 キャラクター的にも挑戦だったのですが、好意でこの作品に協力するために来て下さっているエキストラの方々を巻き込んで、現場をどれだけ盛り上げて行けるかということ、気を配りました。

 エキストラの方々は撮影がないときは待機してもらうことになってしまうのですね。役者たちはモチベーション作りも含めてそれぞれが自分で自分の責任を果たすのですが、エキストラの方々が退屈しないように、バスケのコートの中にいる役者たちで言葉を交わしているだけではなく、ちゃんとエキストラの方々にも聞こえるボリュームの声で話したりしました。

 今回、エキストラの方々は役者たちのファンの方が多かったのですが、バスケのシーンでうまくいっているときなどは、ほんとうに「その声、ほしい」という歓声を出してくれました。テンションをあげるために、リハーサルでうまくいかなかったときも「ぜんぜん大丈夫! 絶対、うまくいくから!」とエキストラの方々に声を掛けたりしていました。

 「春待つ僕ら」は空気感が出る映画です。来てくださったエキストラの方々にも、「春待つ僕ら」の撮影に参加して楽しかったと思ってもらいたかったので、現場を盛り上げることを心掛けました。完成版を観たらバスケのシーンがすごく盛り上がっていて、最高の空気感にしあがっていたので、やってよかったなと思いました。

−「春待つ僕ら」への出演を通して、ご自身の中で変化はありましたか。

 こんなに大きなスケールの映画で、メインキャストとして真ん中で関わらせていただくことがあまりありませんでした。今回、作品作りには、ほんとうに色んな人が関わっていることをまざまざと感じました。そこで戦っている人たちはすてきな人たちだからこそ第1線にいるのだと思いましたし、そういう方々と一緒に作品を作れたことは大きな財産になりました。

 楽しい思い出ばかりで悔しい思いがまったくなかったというわけではないので、いうなれば、もっと、もっと真ん中に行かなければいけないなと思いましたし、上にあがって行かなければならないなと感じました。

 「春待つ僕ら」の出演者がそれぞれ、色んな人に「この俳優が出ているなら観たい」といってもらえるようになり、そのうえで、また再会できたらすごくすてきなことだなと思います。僕も俳優としての実績をしっかり積んで、前に進んで行かなければならないなと、公開が近づくにつれて、改めて感じています。

−「春待つ僕ら」の作品として注目してほしい点をお願いします。

 「春待つ僕ら」は、押しつけがましくないといいますか、すごく優しい映画です。もちろん、“イケメン四天王”というパワーフレーズはあるのですが、そこよりも、悩みながらも必死で頑張っている人たちがいることを描いています。放課後って、学生にとってはただの放課後ですが、学生生活が終わったら二度と訪れない時間じゃないですか。なので、高校時代の恋愛や、バカをやった思い出や、何気なかった帰り道など、観に来た人の中に眠っている青春を呼び起こしてくれる作品になっていると思いますし、がんばっている人たちの背中を押してくれる映画だと思います。

 体を削って、色んなものをすり減らして、でも、その分、爆発して、すごいエネルギーをかけて作りました。みなさんの中の青春を引き出してくれる温かい映画なので、春を待つこの季節にぜひ、ご覧になってほしいです。映画館で観るために作っていますので、ぜひ、劇場に足をお運び下さい。

−民放ドラマ初主演となる「平成ばしる」についても教えてください。まず、どんな作品ですか?

「簡潔にいうとパニックコメディです。テレビ朝日、AbemaTV、J-WAVEが六本木の近場に密集しているのですが、そこにいる人たちが一つの“事件”をきっかけに関わりあっていく作品です」

−民放ドラマ初主演ですが、プレッシャーは?

 演劇など、これまでに主演は何度か経験しているのですが、改めて主演といわれるとプレッシャーを感じてしまいます。でも、現場に入ると、主演は楽しいです。色々なタイプの作品がありますが、主演として真ん中にいると出演者のほぼ全員とお芝居を介して関わることができます」

−「平成ばしる」は、どんな作品になりますか?

 まだ撮影中なのですが、すてきなドラマができあがるという空気ができています。松重豊さんなどたくさんの方が本人役で登場したり、監督の松居大悟さんも松居大悟監督として出演しています。僕もJ-WAVEで毎週、ラジオのレギュラーをやっているのですが、そのJ-WAVEにテレビ朝日のAPという役で入って行って奔走します。「おっさんずラブ」を生み出したドラマ枠なのですが、“おっさんの恋”は出てきません(笑) でも、たくさんの人が本人役で出てきますのでそこも見どころです。

 映画『春待つ僕ら』とドラマ『平成ばしる』は、どちらも別々の楽しみ方ができる作品なので、両方とも観ていただけたら嬉しいです。

 ***

 インタビューに気さくに答えてくれた稲葉は、イケメンというだけでなく、感謝の気持ちを忘れず、俳優業に真摯に向き合う好青年だった。2019年のますますの活躍を期待したい。

映画「春待つ僕ら」オフィシャルサイト


インタビュー


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