武田梨奈インタビュー「戦う女の子じゃない部分も出して行きたい」


2015年9月4日 1時40分 参照回数:


武田梨奈

武田梨奈 (写真:竹内みちまろ、都内にて)


 新進気鋭の映画監督が若手女優たちとタッグを組んだオムニバスムービー『TOKYO CITY GIRL』。全12作の短編構成となっており、夏バージョンの6作が、2015年9月5日より、東京・角川シネマ新宿にて公開される。

 注目は、EPISODE6『KOENJI夢の寿命』(監督:山田能龍)のヒロイン・武田梨奈。頭突きで瓦を割るテレビCMで一躍話題となった武田だが、女優としてのキャリアは長く、映画「ハイキック・ガール!」(2009年/監督:西冬彦)をはじめ主演も多い。戦闘アクションなしでヒロインを演じた『祖谷物語 おくのひと』(2014年/監督:蔦哲一朗)では、演技を評価され、日本映画プロフェッショナル大賞の新進女優賞を受賞した。

 そんな武田が『KOENJI夢の寿命』で演じるのは、女優の夢に破れたピンサロ嬢。出口の見えない毎日を送る若者のリアルな姿を演じた武田に、女優に掛ける思いを語ってもらった。

ピンサロ嬢に挑戦

 『TOKYO CITY GIRL』には、山田ジャパンの山田能龍監督から「この役は武田さんじゃないとダメだと思った」とのラブコールを受け、出演が決定したという。風俗で働く女性を演じるのは初めてではないが、「ピンサロというものを知らなかったので、調べるところから始めました」。役作りでは、山田監督から、「“慣れてる感”を出してほしい」とリクエストされ、ピンサロ嬢のシーンの撮影は、本物のピンサロを借りて行った。スクリーンの中では、笑顔と気安い会話で常連客を転がす風俗嬢を演じている。

 「もともとアクション映画でデビューはしているので、(戦闘)アクション女優というイメージがあると思いますが、戦う女の子じゃない部分も出して行きたいなと思っています」と語る武田は、今年公開の作品だけでも、『原宿デニール』(2015年/監督:タカハタ秀太)で濃厚キスシーンを披露し、『ライアの祈り』(2015年/監督:黒川浩行)では女性同士の恋にも挑戦した。

 『KOENJI夢の寿命』への出演を「こういった作品に出演させていただけることはすごく嬉しいです」と振り返り、「隅から隅まで全部、色んな人を演じたいと思っています」と女優としての現在の心境を語った。

オーディション

 『KOENJI夢の寿命』では、風俗嬢の顔とは別に、女優に成るという夢に破れた若者のリアルな日常も演じている。オーディションに落ち続けることに疲れ、ピンサロと、彼氏と通う居酒屋と、アパートを往復するだけの日々で、東京で女優をしていると信じる母親から励ましのメールが届いても、何とも思わなくなってしまった。

 「私も、お仕事をしている期間よりも、役者になりたいと思ってからオーディションを受けていた時期の方が長いので、役者を目指してオーディションの日々だったという設定は、自分とリンクし、すごく共感しました」と語った。「私もずっと、オーディションに行って、アクション稽古に行って、家に帰って寝て、起きて学校へ行って……という繰り返しだったので、いつ先が見えるのかなと思う時期がありました」とも。

女優を目指した時期

 武田は現在、24歳。今も映画のオーディションは受けており、落ちることもある。

 6歳くらいからオーディションを受け始め、当時は、映画に留まらず、毎月、オーディション雑誌を買い、様々な分野に挑戦していた。

「モーニング娘。さんのオーディションも、加護亜依さん、辻希美さんの時代あたりから受けましたし、ハロー!プロジェクト・キッズオーディションも受けました。あの辺りはずっと、受けていました」

「キラキラしたいとか、有名になりたいとかいう感じではなかったです。爆発する場所ではないのですが、表現する場所といいますか、普段できないことをやることができる場所に行きたいという思いはあったかもしれません」

 そんな武田が「女優に成りたい」と明確に意識したのは、空手を始めたのとほぼ同じ10歳の頃。キッカケは、テレビ番組『3年B組金八先生』だった。

武田鉄矢への憧れ

 女優を目指したキッカケを、「空手を始めるか、始める前かくらいのときに、父に勧められた『3年B組金八先生』を見て、はまりました。それまでは、テレビドラマよりも映画ばかりを見ていたのですが、武田鉄矢さんのお芝居を見て、お芝居をやりたいと思いました」と語った。

「『3年B組金八先生』に登場する生徒はみんな好きなのですが、武田鉄矢さんに一番憧れています。私の中で目指していた人は武田鉄矢さんです。『3年B組金八先生』もそうですが、『101回目のプロポーズ』にしても、『刑事物語』にしても、あれを武田鉄矢さん以外の誰かがやっても絶対に違うと思います」

 武田鉄矢に憧れて女優を目指した武田は、「代わりのいない女優さんになりたいと思います。アクションなどもそうなのですが、“この役は武田梨奈以外に考えられないよね”とか、“この役は絶対に武田梨奈にやってもらいたい”と言われるような役者になりたいと思います」と笑顔を見せた。

映画界を盛り上げたい

 現在、自身へ向けられる注目では、“空手少女”や“瓦割りの人”というイメージが先行していると感じている。「前だったら、そういった姿すらを知らない方がたくさんいましたので、ありがたいです」とするも、同時に、「女優としては、世間一般的にはまだそんなに知られていないなと感じます。声を掛けて下さる方は、『バラエティ番組で見ました』、『CMで見ました』という方が多いです。『普段、映画に出ているんです』とは言うのですが…」とのこと。

 俳優仲間と、映画界を盛り上げたいと話をする機会も多く、さらに、「今、タイや、ミャンマーや、インドネシアなど、海外で作品に出演させていただいています。どんどん海外に出て行って、日本と海外の架け橋になりたいなと思います」と思いを馳せた。

 夢を尋ねると、「いつかアクション映画専門の映画館を作りたいです。都内とか、大阪とかの中心地に」とコメント。「ロビーに、『少林寺木人拳』の木人が置いてあったり、ヌンチャクが置いてあったりして、待っている間も楽しめるような」と具体的な構想もある様子。「世界中のアクション映画が上映でき、アトラクションの要素もある映画館があったらいいですね。役者としてこれからお金をたくさん稼げるようになったら、そういうのを造りたいなと思います」とにっこり。

『TOKYO CITY GIRL』

 女優活動への意気込みを「普段、観てくれている方の期待を裏切りたいです。常に、裏切っていきたいです」と語る武田。

 ファンへは、「『TOKYO CITY GIRL』に登場する女の子たちには、色々な悩みがあり、誰でも必ず共感できるものが含まれています。それは女の子に限らず、親の世代や、子どもたちの世代でも、“こういうことあるよな”と身近に感じられることがたくさんあります。見終わったあとに背中を押してくれる作品なので、ぜひ、劇場で見て下さい」とメッセージ。

 『KOENJI夢の寿命』の見所は、「女の子のリアルな感じだと思います。私にも共通するところがありますし、私の彼氏役の前田公輝君もそうなのですが、こういうカップルはいそうだなというリアルな日常が描かれています。そのリアルさが、みなさんの心のどこかを突くような作品です」と語った。(インタビュー・文=竹内みちまろ)


タイトル:『TOKYO CITY GIRL』
配給:アークエンターテイメント
公開:9月5日(土)角川シネマ新宿他全国ロードショー
【出演】武田梨奈、青山美郷、田中美晴、三浦萌、比嘉梨乃、遠谷比芽子、塚地武雅
【監督】山田能龍、藤井道人、志真健太郎、原廣利、山田智和、山口健人


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