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(92)平清盛の上洛

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 大地震発生から一週間後の治承3年(1179年)11月14日、何のためかは分かりませんが、平清盛が数千騎の軍兵を引き連れて上洛し、都はその話で持ちきりでした。都中が大騒ぎになり、また、誰が言い始めたのか、清盛が朝廷を恨んでいるという話も出てきました。

 関白・藤原基房は、内々に聞こえていたこともあったのでしょうか、急ぎ参内し、「今度の清盛の上洛は、ひとえに、基房を滅ぼすための計画です。このままでは、どのような憂き目に遭うか分かりません」と奏上しました。

 主上も、「そなたが憂き目に遭うことは、すなわち、わが身が憂き目に遭うことだ」といい、涙を流しました。本来なら、天下の政治は、主上と摂政・関白で計らうべきなのに、主上と関白が嘆くとは、どのようなことでしょう。天照大神、春日大明神の神慮の程も解きかねます。

 同月15日、清盛が朝家を恨んでいること間違いなしとうわさされると、後白河法皇は大いに驚き、故少納言・藤原信西の子の静憲法印を使者に立て、西八条の清盛の屋敷へ遣わしました。後白河法皇からの伝言は、「近年、朝家は騒がしい。そのため、人心が落ち着かない。世間がいまだ落ち着かないのは、総じても、別しても、嘆かわしいことだが、清盛がいればこそと頼みにしている。それなのに、仮に天下を鎮めることをせずとも、あまつさえ、もの騒がしい様子で、朝家を恨んでいるとさえうわさに聞く。何事だ」というものでした。

(2011年11月8日)


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