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(87)平重盛の最期

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 平重盛の言葉を聞いた平盛俊は、泣く泣く福原に戻りました。平清盛に、重盛の言葉を伝えました。

 清盛は、「これほどに国の恥を思う大臣は、上古にも聞かない。ましてや、末代にも現れないだろう。日本にふさわしくない程に立派な大臣なので、いかにしても、今後のことはどうにもなるまい」といって、急いで、都へ上りました。

 7月28日、平重盛は出家しました。法名は、浄蓮。8月1日、臨終を迎えても乱れることなく、亡くなりました。享年43歳。世は盛りとばかりに活躍する年頃の他界は、まことに気の毒なことでした。

 清盛がどんな横紙を破るような無理なことをしても、重盛がいて、様々にとりなしていたからこそ、世は今日まで平安でした。重盛が亡くなったのちは、天下にどのようなことが起こるだろうと、身分の高い人も低い人も皆、嘆き合いました。

 ただ、前の右大将・平宗盛の家の人々は、天下はただ今、宗盛殿のもとへ転がってきたと、勇んで、よろこびました。

 親が子を思う心は、たとえ愚かな子が先立ったとしても悲しいもの。いわんや、重盛は、平家の柱石で、当世の賢人。恩愛の別れや、平家の衰退と、悲しんでも悲しみきれません。

 世間は、良臣を失ったことを嘆き、平家では武威の衰えたことを悲しみました。およそ、重盛は、態度といい、有り様といい、どちらも麗しく、忠義の心を持ち、才能技芸に優れ、言葉に徳を備えた人物でした。

(2011年11月7日)


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