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ミニシアター通信平家物語 > (43)平重盛の号令

(43)平重盛の号令

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 平清盛は、頼みにしていた平重盛がそのように言うので、いかにも力なく、「いやいやそれまでのことを思っているわけではないのだ。悪党どもが言うことを後白河法皇が信用してしまうのでどのような災難が起こるのだろうと案じていただけだ」と告げました。

 重盛は立ち上がり、中門に出て、侍どもに言いました。

「ただいまこれにて仰せになったことを、しかと、承ったか。今朝もこちらで、このような騒動を静めようと思ったが、あまりに騒いでいたので、いったん帰ったのだ。院へ向かうときは、まず、重盛の首がはねられたのを見てからにしろ。さらば、供の者、参れ」

 そう告げ、重盛は、小松殿へ帰りました。それから、主馬判官・平盛国を呼びました。「重盛は今朝、別に天下の大事をおおせつけられた。われと思う者どもは、武装して急ぎ参上せよと触れを出せ」と命ずると、盛国は駆け回って広めました。

 簡単には騒ぎ立てない重盛からこのような触れがある以上は、ほんとうに別の大事があるに違いないと、われも、われもと人が集まりました。淀、羽束師(宇治川、木津川などが落ち合う場所)、宇治、岡屋、日野、勧修寺、醍醐、小栗栖、梅津、桂、大原、志津原、芦生の里にあふれたる兵どもの中には、鎧を来ている者も、いまだ甲もつけていない者もいました。あるいは、矢筒を背負っても弓を持たない者もいました。鐙を踏むか踏まないかのうちに、大慌てで馳せ参じました。

 また、小松殿に大事があると聞くと、西八条に集まった数千騎の兵も、清盛の許しを得ることなく、弓に携わるものは一人残らず、馳せ参じました。


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