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ミニシアター通信平家物語 > (22)一行阿闍梨の沙汰、九曜の曼荼羅の縁起

(22)一行阿闍梨の沙汰、九曜の曼荼羅の縁起

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 比叡山の大衆は、前座主・明雲を、東塔の五谷のひとつである南谷の妙光坊へ入れました。時に及んでの不慮の災難は、衆生を救う尊い人も免れがたいことと思われます。

 昔、唐(中国)の一行阿闍梨は、玄宗皇帝の護持僧でしたが、皇帝の后・楊貴妃と浮き名が立ちました。昔も今も、大国でも小国でも、人の口に節操がないことは、しかたのないことです。一行阿闍梨はその疑いにより、果羅国(からこく)へ流罪となりました。

 果羅国への道は、3つありました。輪地道という、皇帝の御幸路。幽地道という庶民の道。暗穴道という重科の罪人を歩かせる道。

 一行阿闍梨は大犯人として、暗穴道へ向かわされました。七日七夜の間、月日の光も見ずに進みました。冥界のような、人ひとり通らない道で、歩くごとに道に迷い、深い森が続いていました。鳥の鳴き声が谷間に響くだけで、濡れた僧衣を乾かすこともできません。

 そのとき、無実の罪によって遠流の重刑を被ったことを天道が憐れみ、七曜(日月火水木金土の星に、羅?(らご)星と、計都星を加えた九星)を天に輝かせ、一行阿闍梨を守りました。

 一行阿闍梨は、あまりの尊さに、右の指をかみ切って、左の袂に七曜の形を写しとりました。それが、和漢両国にて真言の本尊たる九曜の曼荼羅の縁起です。

(2011年10月7日)


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