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(358)平宗盛

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登場人物:平宗盛、平清宗、伊勢義盛、平教盛、平経盛、平資盛、平有盛、平行盛、飛騨景経、堀親経

 壇の浦で平家の運命は尽きました。平清盛の妻の二位の尼(平時子)が安徳天皇を抱いて入水しました。安徳天皇の母・建礼門院(平徳子)も続いて入水しましたが、源氏に引き上げられました。

 平教盛と平経盛の兄弟は、手を取り合い、鎧の上に碇(いかり)を巻いて、海に身を投げました。平資盛、平有盛の兄弟と、従弟の平行盛の3人も、手を組み合い、鎧の上に碇を巻いて、いっしょに入水しました。

 人々はこのように次々と海に身を投げましたが、平宗盛父子は、身を投げる様子がなく、船端に立ち、四方へ視線を廻らせています。

 平家の侍たちが、あまりの見苦しさに、そばを通り過ぎるふりをして、まず、平宗盛を海に突き落としました。それを見た、宗盛の子の平清宗が、すぐに海に飛び込みました。しかし、一門の公達は鎧の上に重たいものを巻いたり、抱いたりして身を投げましたが、宗盛父子はそうはしませんでした。また、なまじ水練に達者だったため、宗盛は、清宗が沈んだら自分も沈み、清宗が助かったら自分も助かろう、互いに目を見交わして、あちこちに泳いでいました。そうしていたところ、小舟で寄せてきた源氏の伊勢義盛が、まず、清宗を熊手で引っかけて、引き上げました。宗盛はいよいよ沈むことがなくなり、いっしょに、引き上げられました。

 すると、宗盛の乳母の子の三郎左衛門・飛騨景経がそれを見て、「わが君を捕まえたのは何者ぞ」と、小舟に乗り、船を寄せて、義盛の船に並べ、乗り移り、太刀を抜いて、襲いかかりました。義盛は危うく見えましたが、義盛の童が主を討たせまいと間に入り、景経に打ちかかりました。しかし、童は、景経に甲の真正面を割られて、二の太刀で、首を落とされました。

 伊勢義盛は再びあやうく見えましたが、隣の船から、弥太郎・堀親経が、矢を放ちました。景経は甲の内側を射られ、ひるみました。そこに、堀親経が伊勢義盛の船に乗り移り、飛騨景経の腰の刀を抜き、鎧の草摺りを引き上げて、柄も拳も貫通せよとばかりに、3刀突いて、景経の首をあげました。

 平宗盛は、乳母子が目の前でこのような最期を遂げたことを見て、何を思ったのでしょうか。

(2012年2月8日)


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