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登場人物:建礼門院(平徳子)、渡辺源五右馬允むつる、大納言典侍輔子
平清盛と平時子(二位の尼殿)の娘で、高倉天皇の中宮で、安徳天皇の母である建礼門院(平徳子)は、二位の尼と安徳天皇が入水したのを見て、今は入水するしかないと思ったのでしょうか、御硯(すずり)と御温石を左右の懐へ入れ、海に身を投げました。
しかし、源氏の渡辺源五右馬允むつるが、小舟を漕ぎ寄せて、櫛に熊手を引っかけて、海から引き上げました。大納言佐局(重衡の妻、大納言典侍輔子)が、「ああ痛わしい。その方は、建礼門院にてあらせられるぞ。まちがいをおこすな」と口にしました。それで、源義経に報告し、急ぎ、建礼門院を御所の船に移しました。
大納言佐局は、三種の神器の内侍所(ないしどころ、神鏡)の箱を海へ投げ込もうとしました。しかし、袴の裾を船端に射付けられ、倒れたところを、武士たちに取り押さえられました。それから、武士たちが、内侍所が入った箱の錠を断ち切って、箱を開けようとしました。しかし、たちまち、武士たちの目がつぶれて、鼻血を出しました。
生け捕りにされていた平時忠が、「あれはなんということだ。内侍所だぞ。凡人(摂政・関白以外の人)は見てはならない」と告げると、兵たちは恐れおののきました。その後、源義経と平時忠が申し合わせて、内侍所をもとのように箱に収めました。
(2012年2月8日)
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