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(255)朝日将軍の院宣

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登場人物:源義仲、源行家、菊池高直、岩戸諸卿大蔵種直、平重衡

 寿永2年(1183年)8月10日、源義仲は左馬頭になって、越後の国を賜りました。そのうえ、朝日将軍という院宣を下されました。源行家は備後の守になり、備後の国を賜りました。義仲は越後を嫌ったので伊予の国を賜り、行家は備後を嫌い備前の国を賜りました。そのほか、源氏10人あまりが、受領・検非違使・ゆき負尉(えのじょう)、兵衛尉になりました。

 8月16日には、平宗盛以下の平家一門160人が官職を停止され、殿上の御札を削られました。ただ、平時忠、内蔵頭信基、讃岐中将時実の3人は削られませんでした。というのは、安徳天皇ならびに三種の神器を事故なく都へ還すように、時忠のもとへたびたび命じていたからでした。

 17日、平家は筑前の国の三笠郡の大宰府に到着しました。都から平家に着き従って来た次郎・菊池高直は「備後と筑後の境の大津山の関を開けて通すことはしない」と肥後の国の自分の城に行って引きこもり、呼び出しても応じませんでした。そのほか、九州と壱岐・対馬の者は皆、参上する旨の申状を送っておきながら一人も参上しませんでした。岩戸諸卿大蔵種直だけが伺候しました。

 18日、平家は安楽寺に参詣し、夜通し歌を詠み、連歌をし、参拝していました。平重衡は、

  住み馴れし故き都の恋しさは

    神も昔に思ひしるらむ

 と詠みました。居合わせた人々は皆哀れに思えて、袖を濡らしました。

(2012年1月4日)


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