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(231)斎藤実盛の覚悟

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登場人物:源義仲、斎藤実盛、浮巣重親、俣野景久、伊東助氏、真下重直

 志保山の戦いで平家の搦め手を破り、新王の塚の前に陣を張った源義仲は、諸社へ神領を寄進しました。多太八幡神社(小松市)には蝶屋の荘を、菅生石部神社(大聖寺町)には能美の荘を、気比神社(敦賀市)には飯原の荘を、白山神社(石川郡)には横江・宮丸の2個所の荘を、平泉寺(白山神社の別当寺)には、藤島七群を寄進しました。

 去る治承4年8月の石橋山の合戦の時に源頼朝に矢を向けた武士たちは皆、関東から逃げ延びて、平家に身を寄せました。特に名のある武士には、長井の別当・斎藤実盛、三郎・浮巣重親、五郎・俣野景久、九郎・伊東助氏、四郎・真下重直。これらは皆、いくさのない間はしばらく休もうと、日ごとに各自の宿に集まり、酒を飲んで慰めていました。

 斎藤実盛のもとに寄り集まって酒を飲んでいた日、実盛が、「つらつら時勢を見るに、源氏の毛色がいよいよ強くなり、平家は負色と見える。いざ、各々方、木曽の義仲殿のもとへ参ろうではないか」と言いました。一堂は「そうだ」と同意しました。

 しかし、次の日、浮巣重親の宿に集まった際、実盛は、「さて、昨日、実盛が言ったことはいかに、各々方」と言うと、俣野景久が進み出て、「さすがに我らは東国では名の知れた者。有利な方について、あちら、こちらと変えていたら、見苦しい。他の者の心は分からないが、景久においては、今度の平家の陣営で、討ち死にする覚悟だ」と言いました。実盛は笑いながら、「げにも、昨日は、各々の心を確かめようと、引いてみたいと言ったまで。実盛も、今度の北国のいくさで、討ち死にする覚悟だ。生きて都には帰らないと、大臣殿の平宗盛卿にも申し上げ、人々にも言い残してある」と言いました。皆、実盛と心を合わせました。その約束を違えることをしなかったためか、その座にいた20人あまりの侍が皆、今度の北国のいくさで死んだのは無残なことです。

(2011年12月28日)


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