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(225)火打が城の戦い

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登場人物:源義仲、斎明、仏誓、稲津新介、斎藤太、林六郎光明、石黒、宮崎、土田、武部、入善、佐美、平宗盛

 平家が北国へ向かったので、木曽の源義仲は、自らは信濃の国にありながら、越前の国に火打が城を造らせました。

 火打が城にたてこもる軍勢は、白山の別当寺である平泉寺の長吏で法要の際に威儀を整える僧「威儀師」の斎明、富樫入道・仏誓、稲津新介、斎藤太、林六郎光明、石黒、宮崎、土田、武部、入善、佐美をはじめとする6000騎。

 火打が城はもとから屈指の城郭で、岩壁に囲まれ、四方を峯が覆っています。山を背にし、前にも山があります。城郭の前には、能美川、新道川が流れています。両川が落ち合う場所に大石を積み上げ、大木で逆茂木を造り、柵をおびただしく敷きました。なので、東西の山のふもとに、せき止められた水がたまり、まるで湖の中の城のようで、かの歌の文句のとおり。

  影南山を浸し 青くして滉ようたり

    浪西日を沈めて 紅に隠りんたり

 印度の大雪山の北にあるという池「無熱池」の底には金銀の砂を敷き、長安の西に武帝が作った「昆明池」の渚には、善政を行うための徳政の船を浮かべたといわれますが、この火打が城の築池は、堤を築いて、水を濁し、敵をだますためのもの。

 平家の大軍は、船がなくては容易に渡れないように見え、向かいの山に陣をはり、いたずらに日数を費やしました。

 火打ちが城に立てこもるなかで、平泉寺の斎明は平家に志が深い人物でした。斎明は、山のふもとを回り、消息を書き、蟇目(ひきめ)に入れ、平家の陣へ射ました。平家の兵が受け取り、大将軍に渡しました。消息には、以下のように書かれていました。

「この川は、もとからあった淵ではありません。山川をいったんせき止め、敵をまどわせるための川です。夜に足軽を出し、柵を切り落とせば、水はほどなく引きます。その時、急ぎ、お渡りください。ここは、馬にとって足場のよい土地です。そうすれば、背後から内応します。この申し状を書く者は、長吏斎明威儀師」

 平家は非常によろこび、夜に足軽を出して、柵を切り落としました。すると、もとは山の間を流れる川なので、水はほどなく引きました。平家軍はためらうことなく、渡りました。城内でも6000騎が応戦しましたが、多勢に無勢でとうていかなうようには見えません。そのうえ、斎明が平家方に返り忠の内応をしました。

 仏誓、稲津新介、斎藤太、林六郎光明は、敵わないと思ったのでしょう、加賀の国へ退きました。白山河内に陣を敷きました。

 平家軍は、すぐに加賀の国へ進軍し、富樫・林の2か所の城郭を焼き払いました。何者も平家に正面から太刀打ちできそうにありません。国々、宿々から飛脚が立てられ、戦いの様子が都へ伝えられました。内大臣・平宗盛はじめ、平家一門は、勇み、喜びました。

(2011年12月26日)


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