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(188)南都炎上:奈良坂・般若寺の戦い、永覚の防戦

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登場人物:平清盛、瀬尾兼康、平重衡、通盛

 平清盛は、兎にも角にもまず南都の狼藉を鎮めようと、太郎・瀬尾兼康を大和の国の検非所に配置することにしました。

 瀬尾兼康は南都へ500騎で向かいました。兼康は、「対峙したとき、興福寺の衆徒が狼藉を働いたとしても、お前らは手を出すな。武具をつけず、弓も携帯するな」と言われていましたが、南都の大衆はそのような内密の指令を知らず、兼康の家来60騎余りを生け捕りにして、首を切り、猿池のほとりに並べました。

 清盛は激怒しました。「それなら南都を攻めよ」と、頭中将・平重衡、中宮亮・通盛を大将軍に命じ、4万騎を南都へ向かわせました。

 興福寺では、老若を問わず7000人、甲の緒を締め、木津から南方の般若寺へと続く坂道「奈良坂」、奈良市北部般若寺町の「般若寺」の2か所の道を堀をふさぎ、釘などをつけた楯を並べ、逆茂木を敷いて待ち構えました。

 平家は4万騎を2手に分けて、奈良坂、般若寺の2か所の城郭に押し寄せ、一斉にときの声をあげました。

 南都の大衆は徒歩で太刀、長刀を持っていました。官軍は騎馬で攻め入りましたので、さんざんに駆け回り、多くの大衆を打倒しました。

 卯の国(午前6時)に開戦の合図である「矢合わせ」を始め、一日戦い暮らし、夜になると、奈良坂、般若寺の城郭が共に破られました。

 逃げ延びていく衆徒の中に、坂四郎・永覚という悪僧がいました。弓矢を射させては、七大寺(東大寺、興福寺、元興寺、大安寺、薬師寺、西大寺、法隆寺)十五大寺(7大寺に、新薬師寺、本元興寺、招提寺、西寺、四天王寺、崇福寺、弘福寺)に並ぶ者がいないといわれた怪力。萌黄縅の腹巻を2枚重ねて巻いていました。頭巾のような帽子甲に五枚甲の緒を締め、茅の葉のようにそった白柄の大長刀と漆黒の大太刀を両手に持ち、同じ房に住む者10人あまりを、前後左右に配置して、大仏殿の西北にある東大寺の手蓋(てがい)の門から、平家方に討って出ました。

 永覚の防戦でしばらく支え、官軍は馬の足を横に切り払われ、多くが滅びました。しかし、数に勝る官軍は、入れ替わりながら攻め寄せ、永覚の同宿の者を皆討ち取りました。永覚は心猛き者でしたが、後方が手薄になったので、力及ばず、一人で南を指して落ちていきました。

(2011年12月17日)


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