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ミニシアター通信平家物語 > (187)南都炎上:藤原基通の審問

(187)南都炎上:藤原基通の審問

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登場人物:藤原基通、忠成、親雅

 京の都ではまた、「南都・奈良興福寺は園城寺三井寺に同心し、以仁親王を受け入れるといい、また、出迎えに出た。これをもって朝敵となった。しからば、奈良は攻められる」とうわさされました。興福寺の大衆はおおいに憤りました。

 摂政・藤原基通から、「言い分があれば何度でも、奏聞しなさい」と、藤原氏学問所・勧学院の院務を司る長官である「有官の別当」の忠成が、興福寺に派遣されました。しかし、大衆は憤慨し、「乗り物から引きずりおろせ、元結いを切れ」と騒ぎましたので、忠成は真っ青になって逃げかえりました。

 次に右衛門督の親雅が派遣されました。親雅も「元結いを切れ」と叫ばれ、取る物も取らず、慌てて都へ帰りました。その時、勧学院の下級役人2人が元結いを切られました。

 南都では、正月の玩具で、槌(つち)の形をした杖に彩糸を絡めた「毬杖(ぎっちょう)」を作り、「これこそ入道相国の頭」と名づけ、「打て、踏め」などと言いました。『詞(ことば)の漏し易きは、わざわいを招く媒(なかだち)なり。詞の慎まざるは、破れを取る道なり』といいます。かたじけなくも、この入道相国・平清盛は、今上の安徳天皇の外祖父です。それを南都興福寺の大衆がこのように言うのは、おそらく、欲界の第六天の魔王である天魔の所為と思われました。

(2011年12月15日)

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