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ミニシアター通信平家物語 > (170)秦の始皇帝暗殺、その3

(170)秦の始皇帝暗殺、その3

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登場人物:樊於期(はんよき)、荊軻(けいか)、秦舞陽(しんぶよう)、秦の始皇帝

 秦の都にある咸陽宮には、阿房殿といって、通常時に始皇帝が御幸し、政治を行う殿がありました。東西9町(約980メートル)、南北5町(約544メートル)、高さが36丈(約108メートル)。屋根に瓦として瑠璃をふき、床は磨いた金銀で、大床は下に5丈(約15メートル)の旗をつけた鉾(ほこ)を立てても余るほどの高さ。

 燕国の地図を持った荊軻と、樊於期の首を持った秦舞陽は、珠で造られた階段を半ばまで上がっていました。そのとき、秦舞陽が、宮殿があまりに壮大なので、わなわなと震えました。秦舞陽の様子を怪しんだ始皇帝の臣下の者が、「刑人をば君の傍に置かず。君子は刑人に近づかず。近づけば則(すなわち)ち死を軽んずる道なり」と騒ぎました。

 それを聞いた荊軻は立ち返って、「秦舞陽に謀反の心などありません。ひとえに、田舎のいやしい生活にのみ浸っているので、このように荘厳な皇居に慣れることができず、うろたえているだけです」と釈明しました。臣下の者たちは皆、静まりました。そのため、荊軻と秦舞陽は、秦の始皇帝に近づくことができました。

 荊軻と秦舞陽は、燕の地図と樊於期の首を見せました。そのとき、地図をいれた箱の底に、氷のような剣が忍ばせてありました。それを見つけた始皇帝がすぐに逃げようとしましたが、荊軻が始皇帝の袖(そで)を、むずと捕まえました。荊軻は始皇帝の胸に剣を指し当てました。始皇帝も今が最後の覚悟した様子。庭に控えていた数万の軍勢は、始皇帝を救いたくても術(すべ)がありませんでした。ただ、始皇帝が逆臣・荊軻に殺されようとすることを、嘆き悲しみました。

 その時、始皇帝は言いました。「私にしばしの時間をくれ。后の琴の音を今一度、聞きたい」

 荊軻は、始皇帝に、剣で胸を貫くまで、しばらく時間を与えました。

(2011年12月8日)


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