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ミニシアター通信平家物語 > (169)秦の始皇帝暗殺、その2

(169)秦の始皇帝暗殺、その2

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登場人物:樊於期、荊軻、秦舞陽、咸陽宮(秦の宮城)

 秦の始皇帝暗殺計画では、樊於期(はんよき)という強者がいました。樊於期は秦の国の者でしたが、始皇帝のために、父・伯父・兄弟を殺されて、燕の国へ逃げて、隠れていました。

 始皇帝は国々に宣旨を出し、燕の国の地図、並びに、樊於期の首を持って参上した者には、五百斤の金を与えると触れを出しました。

 荊軻(けいか)は、樊於期のもとへ会いに行きました。荊軻は、「あなたの首に五百斤の懸賞が掛けられたと聞きました。あなたの首を私に下さい。取って、始皇帝に引き渡したい。喜んだ始皇帝は謁見するだろう。その時、剣を抜けば、始皇帝の胸を刺すこと容易なり」と明かしました。

 樊於期は、躍り上がって、大息をついて言いました。「私は父・伯父・兄弟を始皇帝に殺された。夜に、昼に、そのことを思うと、骨髄まで染みて耐えられない。ほんとうに始皇帝を討つというのならば、私の首を与えることは塵芥よりもたやすい」。樊於期は自ら、首を切って死にました。

 また、秦舞陽(しんぶよう)という強者もいました。秦舞陽も秦の国の者で、13歳の時に敵を討って、燕の国に逃げて、隠れていました。秦舞陽が笑みを浮かべて近寄れば幼子も安心して抱かれ、秦舞陽が怒り狂って向かう時は屈強の男ですら気絶しました。秦舞陽は、比類なき強者でした。

 荊軻は、秦舞陽に語り、秦の都の案内者として、連れて行きました。

 途中、ある山の里で夜を明かした時、近くの里から管弦の音が聞こえてきました。管弦の調子で、始皇帝暗殺が成るか否かを占うと、「敵の方は水なり、わが方は火なり」と出ました。白色の虹が日をつらぬいて光を通さないように、始皇帝の胸を貫くことは難しいと、「わが本意を遂げることは難しい」と荊軻は言いました。

 そのようなことをしているうちに、夜が明けました。不吉な占いが出ましたが引き返すべき道はありませんので、秦の宮城・咸陽宮に到着しました。

 荊軻は、燕の国の地図と、樊於期の首を持参したことを伝えました。臣下が受け取ろうとしましたが、「人伝てでは渡せません。直接でなければなりません」と伝えると、そうであるならと、謁見の儀を整えて、荊軻と秦舞陽を迎えました。

 咸陽宮は、都の周り18380里(1里は360歩)に渡っていました。王宮は、土を3里高く積み上げて、その上に造られていました。長生殿があり、不老門がありました。また、黄金で太陽が作られ、白銀で月が作られていました。真珠や、瑠璃や、金を砂利として敷き詰め、四方には、黒金の築地を高さ40丈(約120メートル)に築き上げ、殿上にも同じように黒金の網を張っていました。地獄の鬼や、刺客を寄せ付けないためです。

 秋に田の面に降り立った雁が春に故郷の北国に帰るさい飛行の邪魔になるので、築地の黒金の門は開けておき、そのため、その門は雁門と名づけられました。

(2011年12月7日)


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