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(167)朝敵揃え

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 わが国の朝敵のはじめは、日本磐余彦尊(ヤマトイハレヒコノミコト)の時代4年、紀州名草郡高雄村に、一匹の蜘蛛がいたことです。

 蜘蛛は身が短く、手足が長く、人間よりも力が勝っていました。多くの人々を傷つけたので、官軍が出動し、宣旨を読み伝え、葛(かづら)の網をかぶせて、ついに蜘蛛を殺しました。

 それよりこの方、野心をもって朝威を滅ぼそうとした輩は、大石山丸、大山王子、山田石川、物部守屋の大臣、蘇我入鹿、大友真鳥、文屋宮田、橘逸勢、氷上川継、伊予親王、太宰少弐の藤原広嗣、恵美押勝、早良親王(崇道天皇)、井上皇后(光仁天皇皇后)、藤原仲成、平将門、藤原純友、安倍貞任・宗任、前対馬守の源義親、悪左府・藤原頼長、悪衛門督の藤原信頼にいたるまで、その例はすでに20余人。しかし、一人として成功した者はおらず、皆、屍を山野にさらし、首を獄門にかけられました。

 そもそも、近頃こそ王位もむげに軽んぜられているが、昔は、宣旨を向かって読めば、枯れた草木にもたちまち花が咲き、実が成り、飛ぶ鳥も従ったものです。

 近い話では、延喜の御門・醍醐天皇が神泉苑へ御幸して、池のほとりに鷺(さぎ)がいたのをみとめ、六位の者を呼んで、「あの鷺を取って参れ」と命じました。六位は、どのようにして捕まえようかと思いましたが、天皇の命令なので、歩いて近づきました。鷺は羽づくろいをして羽ばたこうとしました。しかし、六位が「宣旨ぞ」と口にすると、鷺はひれ伏して飛び去りませんでした。

 六位が鷺を取って戻ると、「お前が宣旨に従って、参ったことは神妙だ。すぐに五位に叙せ」と命じ、すぐに鷺を五位にしました。また、「今日から後、鷺の中の王たるべし」という札を、自ら鷺の首につけて、鷺を放ちました。

 まったくそれは、鷺がほしかったわけではなく、王威のほどを確認せんがためでした。

(2011年12月6日)


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