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(164)天皇の節刀、厳島大明神の小長刀

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登場人物:平清盛、源雅頼、青侍、源頼朝、厳島大明神の小長刀(宝刀)


 平清盛は夢見が悪く、物の怪(もののけ)に襲われていましたが、中納言・源雅頼(がらい)の召し使われる青侍(せいし)が見たという夢も、恐ろしいものです。

 例えば、禁裏の中の神祇官の集う場所に、正しい束帯を着けた貴人たちが多数集まって、評定のようなことをしていました。末席の貴人が平家方の人間だと思われましたが、その人は、評定の中から追い出されてしまいました。

 はるか上座にいた、気高い宿老と見える貴人が、「日ごろ平家が天皇から賜っている、出征の将軍や遣唐使が任命のしるしとして天皇から賜る「節刀(せっとう)」を平家から取り上げて、伊豆の国の流人、前右兵衛佐・源頼朝に与える」と告げると、側にいた別の宿老が、「その後は、わが孫にも賜れ」と言いました。

 青侍は、夢の中で、ある宿老に、ことの次第を尋ねました。返答は、「末座にいた平家方だと思われる貴人は、厳島大明神。節刀を源頼朝に与えると告げたのは、八幡大菩薩。『その後は、わが孫にも賜れ』と言ったのは、春日大明神。かく言う私は、武内明神だ」とのこと。

 青侍は、夢から覚めた後、見た夢を人に話しました。夢の話が平清盛の耳に入りました。平清盛は、源雅頼に使者を立てて、「貴殿のところにいる夢を見た青侍を、こちらへよこしてください。内容を詳しく尋ねたい」と伝えました。青侍は、「悪いことだ」と思ったのでしょうか、さっそく、逐電してしまいました。

 源雅頼が平清盛の屋敷に出向いて、「まったく、そのようなことはありませんでした」と陳情し、その後は何も沙汰がなかったということです。

 その上さらに不思議なことは、平清盛がいまだ安芸の国の国司だった時、厳島神社を参詣した際に見た霊夢で厳島大明神から賜わり、常に枕元に立てていた、例の白銀の輪が蛭のように柄に巻かれた小長刀が、ある夜、突然に無くなってしまったことです。

 平家は日ごろは朝家の固めとして天下を守護していましたが、今は勅命にも背いたので、節刀をも取り上げられたのかと、人々は平家にとって心細いことをうわさしました。

(2011年12月4日)


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