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(152)源頼政の鵺(ぬえ)退治、その3

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登場人物:源頼政、猪早太、藤原頼長、近衛天皇

 また、應保の頃(1161年-1163年)、二条院が天皇だった時、鵺という化鳥が禁中で鳴き、しばしば、二条天皇を悩ませたことがありました。その時も、先例に習い、頼政が呼ばれました。

 時季は5月20日ほど、まだ宵の時間に一声鳴いただけで、2声目はありませんでした。目当てにする物もない闇で、姿形も見えないので、矢の狙いを定めることができませんでした。

 そこで、頼政は、まず大きな鏑矢を取ってつがえ、鵺の声がした内裏の上へ射上げました。

 すると、鵺は、鏑矢の音に驚き、虚空の中で、「ひひ」と声をたてて鳴きました。

 頼政は、次に小さな鏑矢をつがえ、矢を放ちました。放たれた矢は「ひいふつ」と飛んでいき、やがて、矢と鵺が落ちてきました。

 二条天皇のおぼえも良く、頼政に、御衣を授けることにしました。

 今度は、大炊御門(おおひのみかど)・右大臣の藤原公能が受け取り、頼政の肩に掛ける時、「史記』にも登場する矢の名人である養由は昔、雲の外の雁を射て、今、頼政は、雨の中の鵺を射たのだなあ」と感心しました。

 藤原公能は、

  五月(さつき)闇名をあらわせる今宵かな

 と詠みました。頼政は、

    たそがれ時の過ぎぬと思うに

 と続け、御衣を肩にかけて退出しました。

 頼政は、その後、伊豆の国を賜りました、子の源仲綱を国司にして、自分は三位となりました。丹波の五箇の荘園と、若狭の東宮河を所領としていました。

 そのような人が、由なき謀反を起こし、以仁親王をも死へ導き、わが身も子孫も滅ぼしてしまったことは、情けないことです、

(2011年11月28日)


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