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ミニシアター通信平家物語 > (146)以仁親王の若宮、木曽の宮

(146)以仁親王の若宮、木曽の宮

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 平頼盛が再び女院に参上して、若宮を差し出すように、重ねて伝えました。

 八条の女院は、力及ばず、若君を差し出しました。

 若君の母・三位の局は、今生の別れとなるのでさぞ名残惜しく思ったことでしょう。三位の局は、泣く泣く御衣を着せ、くしで髪の毛を整え、送り出しましたが、それも夢であるかのように思われたことでしょう。八条の女院をはじめ、三位の局から女童に至るまで皆、涙で袖を濡らしました。

 頼盛は、若宮を車に乗せ、六波羅へ連れて行きました。

 平宗盛が、若宮に会いました。宗盛は、父・清盛の前に出て頼みました。

「前世からの因縁でしょうか、若宮をひと目見て、あまりに痛わしく思いました。どうしたことか。若宮の命を、理をまげて、私に下さい」

 そう告げられた清盛は、どう思ったからでしょうか、「それなら、すぐに出家させろ」と命じました。

 宗盛が八条の女院へ、その由を伝えたら、女院は、「何の依存もありません。早く、早く」と言い、若宮は出家しました。

 若宮は出家と決まりました。法師となり、仁和寺の御室の弟子になりました。のちには、東寺の寺務を総括する職の筆頭「一の長者」となりました。東寺の、安井宮大僧正・道尊とは、この若宮のことです。

 また、以仁親王の若宮がもう一人、奈良にいました。おもり役の讃岐の守・重秀が出家させ、重秀が供をして北国へ逃れました。

 この若宮は、木曽の源義仲が上洛する際、天皇にしようと思い、還俗させて都へ連れて行きました。なので、木曽の宮ともいい、また、還俗の宮ともいいました。後には、嵯峨の北の山の辺りにある「野依(のより)」にいましたので、野依の宮ともいいました。

(2011年11月28日)


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