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ミニシアター通信平家物語 > (137)平等院の戦い、その2 〜橋合戦〜

(137)平等院の戦い、その2 〜橋合戦〜

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 源頼政は、今日を最後と思ったのでしょうか、絹織物の直垂の一種「長絹」に、藍革に白く葉のような模様を染め出した革で縅(おど)した鎧を着て、わざと甲はかぶりませんでした。

 源仲綱は、赤地の錦の直垂に、黒糸縅の鎧姿。弓を強く引く為に、仲綱も、甲はかぶりませんでした。

 五智院の但馬は、大長刀の鞘をはずして、ただ一人で、橋の上を進みました。

 平家方ではそれを見て、「ただちに、射とってしまえ、射とってしまえ、」と、つがえては射て、つがえては射てして、さんざんに射かけました。しかし、但馬は少しも慌てず、上の矢はかがんで避け、下の矢は飛び上がってやり過ごし、向かってくる矢は長刀で切り落としました。敵も味方も、感心して見とれました。このときから、矢切りの但馬、といわれたのでした。

 また、堂衆の一人、筒井の浄妙房・明秀は、褐(かちん、藍を濃く染めた紺色)の鎧直垂を着け、黒革縅の鎧を着て、しころの5枚ある甲の緒を締め、黒漆の太刀を帯び、黒い母衣(ほろ)羽ではいだ24本の矢を背負い、藤を繁く巻きつめた上に漆で塗りこめた「塗籠藤」の弓に、好みの大長刀を取り、明秀も、ただ一人、橋の上を進みました。

 明秀は大音声をあげました。

「遠い者は聞け、近くの者は見よ。三井寺には隠れなし。堂衆の中に、筒井明秀といって、一人当千の兵がいるぞ。われと思わん人々は、近くに来て姿を見せろ」

 明秀は、24本さした矢を、つがえては打ち、つがえては打ちし、さんざんに射かけました。

 その矢で12人の敵を射殺し、11人に傷を負わせました。そして、箙には一本の矢が残りました。

 明秀は、箙をほどいて捨てました。毛皮でできた戦闘用の靴を脱いで裸足になりました。橋板を支える縦の桁をさらさらと走りました。

 橋桁はだれも恐れて渡りませんが、明秀にとっては、一条、二条大路を行くようなものでした。

 明秀は、長刀で、立ち向かってきた敵5人をなぎ伏せ、6人目の敵に逢い、長刀が中程で折れたので捨て、それからは、太刀を抜いて戦いました。

(2011年11月25日)


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