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(126)競の三井寺入り

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 その時、三井寺では、渡辺党が寄り集まって、競のうわさをしていました。「なんとしてでも、この滝口の競は、呼び出して随行させるべきだったものを」と口々に言っていました。

 競の心をよく知る頼政は、「競はむざむざからめ捕られる者ではない。頼政に志が深い者なので、見ていろ、ただいまもに参上するぞ」と言いましたが、その言葉が終わらないうちに、競が参上しました。

 競が畏まって、言いました。「伊豆の守・仲綱殿の『木の下』の代わりに、六波羅の『煖廷』を取ってまいりました。ここへ連れてきましょう」と言い、仲綱に渡しました。

 仲綱は大いによろこびました。すぐに、尻尾の毛を切り、焼き印をして、その夜のうちに六波羅へ遣わしました。

 煖廷は、夜半ごろに門の中へ追いたれられて入りました。厩に戻って、ほかの馬たちとかみ合いました。舎人が驚いて「煖廷が来ました」と言いました。

 平宗盛が急ぎ出て見ると、煖廷に、「平宗盛入道」という焼き印が押してありました。

 宗盛は、「にっくき競めを切って捨ててやりたい。手延ばしにして、あなどられることがくやしい。今度、三井寺へ攻め込む者どもは、なんとしても、競を生け捕りにせよ。のこぎりで首を切ってやる」と、躍り上がり、躍り上がりしながら怒りました。

 しかし、煖廷の尻尾の毛は生えてこず、焼き印も消えることはありません。

(2011年11月20日)


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