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(124)競

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 治承4年(1180年)5月16日の夜、源頼政、嫡子・伊豆の守源仲綱、次男・大夫判官源兼綱、頼政の養子で帯刀先生義賢の子・六条蔵人源仲家、その子・蔵人太郎仲光以下、甲冑に身を固めた300騎余り、屋敷に火をかけて、園城寺三井寺に入りました。

 ここに、源頼政の年来の侍で、禁中警護の武士である「滝口の武士」で渡辺の源三競(げんぞう・きおう)という者がいました。頼政のもとに馳せ参じるのに遅れました。

 平宗盛は競を六波羅へ呼び出し、「どうしてお前は、相伝の主・源頼政の供をしないで、留まったのだ」と詰問しました。

 競は、かしこまって、「常日頃は万一のことがあらば真っ先に駆け付けて命を捧げようと思っていました。今度は、どうしたことか、知らせがなにもないままに、留まっていました」と告げました。

 宗盛は、「お前は、前に俺にお目見えしたことがあるな。前途後栄を思って平家について奉公したいと思うか。あるいは、朝敵・頼政法師に同心したいと思うか。ありのままを申せ」と言いました。

 競は涙をはらはらと流し、「たとえ相伝のよしみがあるといえども、どうして朝敵となった人に同心することができましょうか。ただ、殿に奉公いたします」と言いました。

 宗盛は、「ならば奉公せよ。頼政がした恩義には、少しも劣らない」と告げ、家臣に加えました。宗盛は、朝から晩まで、「競はいるか」「いるか」と尋ね、そのたびに「ここにおります」と、競は返事をしました。

(2011年11月20日)


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