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ミニシアター通信平家物語 > (121)以仁親王の三井寺入山

(121)以仁親王の三井寺入山

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 さて、高倉の宮・以仁親王は、高倉通りを北へ、近衛通りを東へ進み、賀茂川を渡り、如意ケ嶽ともいい鹿ケ谷から三井寺へ通う山路にあたる如意山へ入りました。昔、清見原天皇(天武天皇、大海皇子)が大友皇子に襲われて吉野山に入ったときに少女の姿をしましたが、今の以仁親王の様子もそれに少しも違いません。以仁親王は、知らない山路を夜通し遠くまでわけ入りました。慣れないことなので、以仁親王の足から出る血が砂を染めて紅のようです。夏草の茂みに露が下りているのも、さぞかし、心苦しく思ったことでしょう。

 こうして、以仁親王は、明け方に、園城寺三井寺に入りました。以仁親王が「生きる甲斐もない命の惜しさに、宗徒を頼んで三井寺に来たのだ」と口にすると、大衆は大いに畏まって、よろこびました。法輪院に御所に設えて、形式に習い、食事を出しました。

 明けの治承4年(1180)5月16日、以仁親王が謀反を起こして園城寺三井寺へ落ち延びたとうわさされるやいなや、都中が大騒ぎになりました。

(2011年11月20日)

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