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(113)源頼政の以仁親王訪問

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 そのころ、近衛河原に住んでいた三位入道・源頼政がある夜、ひそかに以仁親王の住まう大宮の御所を訪れて告げたことはなんとも恐ろしいことです。

 たとえば、頼政はこのように口にしました。

「以仁親王は、天照大神の四十八世の正統な子孫で、神武天皇からは七十八代にあたります。しかれば、皇太子にも立ち、天皇の位にもつかれるべきお人です」

「そのような人が30歳まで宮で過ごされているとは、心苦しいと思わないのですか。すぐにでも謀反を起こし、平家を滅ぼし、鳥羽殿に幽閉されている後白河法皇の憤りを休ませて、以仁親王が天皇になってください」

「もし、令旨を下さるなら、よろこび勇んで馳せ参ずる各国の源氏は多数おります」

 そして、以下のようにつづけました。

「まず、

京都には、
出羽前司・源光信の子の伊賀の守・源光基、出羽判官・源光長、出羽蔵人・源光重、出羽冠者・源光能。

熊野には、
故六条判官・源為義の末子、十郎源義盛が隠れています。

摂津の国には、
多田蔵人・行綱がいます。しかしながら、行綱は新大納言・藤原成親の謀反の時に、同心しておきながら、裏返った不届き者なので言うに及びません。

しかしながら、行綱の弟の次郎・知実と、同じく弟の手島冠者・高頼、そして、太田太郎・頼基がいます。

河内の国には、
石川郡を知行する、源義家の孫で源義時の子・武蔵権守入道源義基、その子の石川判官代・源義兼。

大和の国には、
宇野七郎・源親治の子の、太郎・源有治、次郎・源清治、三郎・源成治、四郎・源義治。

近江の国には、
山本、柏木、錦織。

美濃尾張には、
山田次郎・重広、河辺太郎・重直、泉太郎・重光、浦野四郎・重遠、安食次郎・重頼、重頼の子の太郎重資、木田三郎・重長、開田判官代・重国、矢島先生・重高、重高の子の太郎・重行。

甲斐の国には、
逸見冠者・義清、その子の太郎・清光、太郎・武田信義、次郎・加々美遠光、同じく小次郎・長清、次郎・一条忠頼、板垣三郎・兼信、逸見兵衛有義、武田五郎信光、安田三郎義光。

信濃の国には、
大内太郎維義、岡田冠者親義、平賀冠者盛義、その子・四郎義信。東宮武官の長だった故帯刀先生義賢の次男、冠者・木曽義仲。

伊豆の国には、
流人で、前右兵衛佐・源頼朝。

常陸の国には、
信太三郎先生義教、冠者・佐竹正義、その子の太郎・佐竹忠義、三郎・義宗、四郎・高義、五郎・義季。

陸奥の国には、
故左馬頭・源義朝の末子、九郎冠者源義経がおります。

これらはみな、清和天皇第6皇子の貞純親王の子・六孫王の子孫で、新発意多田満仲の子孫です」

「かつては、朝敵を平らげて、宿望を遂げることで源平に優劣はありませんでした。今は雲泥の差で、主従の礼にも劣っています」

「国では国司に従い、荘園では預かり所に召し使われ、公事雑事に駆り立てられ、心休まることもありません」

「当世の情勢を見るに、表面上では従っているようですが、内心では平家をそめまない者はいません」

「もし、以仁親王が令旨を賜ってくださるなら、国々の源氏どもは、夜を日についで馳せ上り、平家を滅ぼすに月日はかかりません。もし令旨を賜れば、私も年ですが、若い子がたくさんいますので、引き連れて参上します」

 源頼政は、以上のように、以仁親王に告げました。

(2011年11月17日)

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