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おまえ次第/サタミシュウのあらすじと読書感想文(ネタバレ)

2012年12月1日 竹内みちまろ 参照回数:

おまえ次第のあらすじ

 妻(31歳)と子作りに励んでいる売れっ子デザイナーの目黒(29歳)は、その気がある女を調教することに関してはけっこうな腕前という自負があり、中学生と小学生の子どもがいる一流証券マンで調教仲間の宮部からは「ミスターご主人様」と呼ばれています。しかし、自らは服を脱ぐことすらせず、女に触れることもなく、それでいて、女をいかに絶頂に導き、屈服させるかに快感を得ている知人たちからは、「まだ射精しているのか?」「まだ挿入しているのか?」と馬鹿にされることがあります。目黒がかつてある縛師からいわれたことによると、最終地点は、いかに美しい女が、いかく美しく屈服して、いかに美しく縛られているかという姿を「鑑賞」することだけを堪能することといいますが、目黒には、妻以外にメインの調教相手が1人、適当にやっている女が1人、彼女らしき存在が1人いました。

 目黒は4年前の25歳だった時、瀬尾明乃という既婚女性を口説き落としたのですが、ふいに目の前に現れた明乃の夫から、明乃との関係を続け、かつ、プレイ中の明乃の姿や送受信したメールなどをすべてホームページにアップし、明乃の夫が知っていることを悟られずに明乃へ見せるように命令されました。それまでにも、目黒には、「撮影癖」とでもいうものがありましたが、明乃が妊娠したことによって突然明乃を取り上げられた目黒は、それ以降も、残っていた明乃の写真を鑑賞していました。明乃との関係が終わったのが10月で、2か月後の12月、目黒は、明乃をくどく前からつき合っていた現在の妻・希美と結婚しました。目黒は結婚後、数えきれない女を抱き、この一年ほどは、初めて会ったときから女を隷属させてプレイするようになっていました。目黒自身が変わると、寄ってくる女も、ハズレがなくなり、必ずそういう関係になる女とだけ出会うようになっていました。

 目黒や宮部がたまり場にしている、清水という男がバーテンを務める店で、室岡という「ニセエム」の男が、女王様がいる店の話を始めます。室岡は乗り気ではありませんが、目黒と宮部が「いまからそこに行きましょう」と勝手に決めてしまい、室岡に案内させ、六本木の裏路地にあるその店へ行きます。その店の「みちる」と名乗る女王様を「洋子さん、すごい、違う人みたい」と尋ねてきた2人組の友人の一人が来月12月で27歳になる、ガス器具メーカーで事務職をしている望月繭子でした。店の真奈美と名乗った女王様は、「目黒さん、最終的にはあの子、違うと思うわ」と告げますが、繭子へ理路整然と突き刺さる言葉を浴びせかけ続け、時間は午前5時前でしたが、希美が起床する7時には家に帰りたく、かつ、昼の12時には打ち合わせがあるという状況の中で、目黒は「もう一杯つきあうか」と誘い、「はい」と迷わず答えた繭子をカラオケボックスに誘い、繭子の口元に自分のものを差し出すと、繭子は何もいわずにおずおずと口に含み始めました。目黒は、繭子には、「私のような人間に出会ったから」ちゃんとやるというよりも、こんなふうに充分にしゃぶれることが嬉しくて仕方がないという「気」のほうが多く流れていると感じられました。

 カラオケボックスを出た後、目黒は、そのまま繭子のアパートへ行き、いきなり繭子のスカートをまくり、下着を下ろし、そのままバックから挿入しました。眼鏡にも、髪の毛にも飛び散るほどに顔に出すと、繭子は、言われなくても目黒のものを口で掃除し始めます。目黒に聞かれて「はい。経験なかったです」と答える繭子は、「すごく嬉しいです」と屈託のない笑顔を見せます。繭子は彼氏がいるといいますが、「でも、こんな風にもっといっぱい犯してもらいたいです」と曇りのない笑顔を見せます。目黒は「じゃあしばらくおまえを可愛がってやるから、今日、その彼と別れてきなさい」と告げ、繭子は「わかりました」と、何のちゅうちょもせずに即答しました。その夜、希美が妊娠していることがわかりました。

 目黒は、「これまで会ってきた女たちと、確実に繭子は違う」と感じていましたが、繭子の成長ぶりは、目黒の予感を越えていました。繭子は命令されることのすべてが嬉しくてしかたないという様子で、言われるとすぐに尻の穴をなめ、目黒が止めるまでなめ続けます。週に最低3回は繭子を調教し、それ以外の日は必ず、繭子に、自分で慰める姿や露出する姿の写真をセルフで撮らせて送らせました。繭子は、ホテルの冷蔵庫の上に載せられたままバイブで責められると辺り一面に液をまき散らし、コンドームの中のものを飲むように指示されると嬉しそうに舌を出して流し込み、浴槽の中に正座させられて小便をかけられると、笑いながら、口を開けてごくごくと飲み干していきます。何を命令しても、嬉しくて仕方がないという笑みを浮かべて実行していきます。

 繭子は、「お願いです。もうすぐ生理がはじまってしまいますし……たくさんご奉仕していっぱい犯していただきたいです。駄目ですか?」などとメールを送ってくるようになりました。目黒が居酒屋に連れて行き、注文したものが全部来てから、スカートの下を全部脱がせ、指を入れて聞こえるように音を立てるよう命令します。目黒が「いきなさい」と命じると、繭子は、1分もしないうちに、外からでもわかるほど激しくかきまわしながら絶頂します。目黒が既に運ばれていたテーブルの上のつまみを「食べなさい」と声を掛けると、繭子は「あの……」と言い淀んで、その前になめさせて下さいと懇願します。目黒はしばらく迷いましたが、「好きにしなさい」と命じます。繭子は満面の笑みを浮かべてテーブルの下に潜り込み、目黒から教え込まれたとおり、よだれを垂らしながら舌を回転させるように動かし始めました。目黒は、のれんの下から垣間見える従業員の足や、周りから聞こえてくる合コンの陽気な会話が気になって仕方がありませんでしたが、繭子は、今度は舌先を使って、先端を刺激し始めました。

 目黒は、「繭子のポテンシャルが、私などをはるかに上回っている」ことは最初からわかっていたのだと自覚しました。繭子へ連絡する頻度が減ります。繭子から、「いま学生時代の友人と飲み中です、一次会はまもなく終わります。もし呼んでいただけたら、すぐに伺います。ご連絡がなければ、二次会に流れます。久しぶりの友達に、エロくなったねって驚かれました。ありがとうございます」というメールを送ってきました。繭子の暴走が始まります。

 ストーリーはまだ続くのですが、読書感想文へ行きたいと思います。

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おまえ次第 (角川文庫)

おまえ次第の読書感想文

 「おまえ次第」を読み終えて、男にとっての「快楽」と、女にとっての「快楽」は違うのだろうかと思いました。

 繭子は、目黒から、「俺をご主人様と呼んでみたいだろ?」と聞かれ、「はい。すごく呼ばせていただきたいです」と答えます。「奴隷と呼んでもらえたらもっと感じるだろう?」と聞かれると、「はい。よろしいんですか?」と期待を膨らませます。「いまここで愛してるよって言われたら、おまえはすごく感じるだろう?」と言われたときは、体を起こして目黒の目をのぞき込みます。目黒は、「言うわけないだろう。実際、おまえのことは愛していない」「おまえも俺を愛してるわけじゃない。わかってるだろう?」と告げます。繭子は何も答えませんでした。

 目黒は、繭子には奴隷の条件が欠落しているといいます。それは「ご主人様の前ではどれだけのこともできます」という、どこか悲壮感のある決意や、辱められてもなお快楽を得てしまうことを恥ずかしいと思う羞恥心でした。目黒流にいうと、野外で露出させたり、人のいる場所で自ら慰めさせたり、小便を飲んだり汚い所をなめさせることを命じられ、嫌がり恥じらいながらも実行して、感じてしまうようにすることが、「奉仕」であり、「調教」であるようです。

 しかし、繭子は、露出が楽しくて仕方がなく、人のいる場所ですることが嬉しいのであり、おいしいと思っていつまでも舐め続けるようです。しかし、だからといって、繭子が奴隷としての快楽を得ることができないかというと、そうではありません。繭子は、たんに性欲が強いということ以上の主従という関係性から生まれる快楽を、縛りあげられ、つるされ、裸にされ、一切の体の自由を奪われ、竹ムチでたたかれるという、(生ぬるいものではない)ほんとうの肉体的苦痛によって、自発的に得てしまうわけですが、繭子がしていることは、目黒に対する「奉仕」なのだろうか、それとも、自分自身の「快楽」なのだろうかと思いました。

 逆のことは、目黒にもいえて、目黒にとって、たとえば女の尻をたたくビンタは、それ自体は「調教」なのだろうか、「快楽」なのだろうかと思いました。ビンタをする目的は、「調教」することなのだろうと思いますが、もし、目黒がビンタをすること自体が目的で、ビンタをすること、あるいは、悶絶しそれでも体の自由を奪われて悲鳴をあげることしかできずにビンタされて苦痛に耐える、というか(この場合は耐えるという言葉は当てはまらなくて)逃げ場をふさがれた上で一方的に与え続けられる姿を見ること自体が「快楽」だったらどうなるのだろうと思いました。目黒いわく「その筋」の世界、つまり、SMの世界ということになるのでしょうか。

 いずれにせよ、繭子は、最強の奴隷だと思いました。

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