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映画「告白」のあらすじと感想(ネタバレ)

2012年3月29日 竹内みちまろ 参照回数:

映画「告白」

監督:中島哲也
製作:2010
原作:湊かなえ
出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃 、高橋努、井之脇海、田中雄土、西井幸人、能年玲奈、橋本愛、三吉彩花、山田諒、山谷花純

映画「告白」のあらすじ


 子どもの笑い声と愉快な音楽で始まる映画「告白」。やがて映しだされるのは終業式の日の教室の風景で、生徒達は、自由気ままに走り回り、携帯電話を操作しています。しかし、陽気というよりも、生徒達は牛乳を机の上から床に落とすなど、自分勝手だったり、無気力な雰囲気。

 そんな中、教師の森口悠子が、教師の仕事を辞めると告げます。生徒達は、「まじ? やったー!」と全身でよろこび現します。しかし、森口は、そんな生徒達の反応も意に介さない様子で、淡々と話を続けます。シングルマザーの森口は、娘の父親が熱血教師として知名な桜宮であることを語り、HIV感染者の桜宮は、子どもが差別を受けるからという理由で結婚しないことを望んで、森口も賛成したことを告げます。また、森口は、学校のプールで起きていた、森口の幼い娘が「事故」で死んだ話を始めました。教室の中は、泣きだす女子生徒もいますが、その生徒をちゃかす男子生徒もいます。いわゆる崩壊したクラスのようです。

 森口は、娘は事故死ではなく「このクラスの生徒に殺されたのです」と告げます。さすがに、教室中が静まりかえりました。森口は、14歳未満の者は法律で「刑事責任を問われない。逮捕されない」ことを告げ、娘を「殺した」犯人の名前は明かさないといいます。生徒達は、「犯人わかった」などとメールし合います。娘は、少年A(修哉)が作った、開けようとすると感電するポシェットで気を失い、うろたえた少年B(直樹)によってプールに投げ込まれたといます。森口は、殺意はあったが殺してはいない少年Aと、殺意はなかったが殺した少年Bが飲んだ牛乳に、桜宮の血液を混ぜていたと告げ、学校を去りました。

 森口が去った学校で新学期が始まりました。クラス替えはなく新しい担任のもと、森口の話を聞いた生徒たちが再び集まりました。直樹は休みで、北原美月は修哉が登校していたことに驚きます。美月は、「先生、信じられますか。こんなにも明るい笑顔に包まれています」と森口に語りかけますが、美月は、森口が突きつけた「真実」から逃げ出すために「バカ」になりすましただけだと語ります。

 クラスでは、「人殺しには天罰を、制裁ポイントを集めろ」という「煽り」メールが届き、修哉へいじめを行うとポイントが付与され、クラス全員のポイントが一覧表になってメールで定期報告されていました。一人だけポイントがゼロのままの美月は、クラスで修哉がいじめられていることを新しい担任へ「ちくった」とされ、修哉とキスをさせられ、その瞬間を写メに撮られ、ことあるごとに見せられていました。しかし、修哉が美月に嫌がらせを続けていた女子生徒の机に血をたらし、いじめをあおっていたという男子生徒にキスをして脅しました。

 夜、美月は修哉に呼ばれて、HIVに関する血液検査の結果が「陰性」であることを見せられます。美月は、「大丈夫、わかってたから」と告げ、修哉は「ジュース、飲まない」と美月を誘いました。検査結果を見せた理由を問われた修哉は、「僕の命は軽いけど、君のは重いから」と答え、美月は、森口が血を混ぜたと言ったのは「うそ」と語り、「悠子先生にはぜったいできない。うそを言っただけ」と口にします。

 直樹は不登校を続けており、母親をHIVに感染させないために、食器やトイレを病的なほどに洗い、いっぽうで、髪の毛も切らず、着替えもせず、自分に関しては無関心になりました。森口は直樹の家を訪問して、直樹と母親の前で直樹を詰問し、直樹は娘をプールに投げ入れたことを話していましたが、直樹の母親は、直樹は悪い友だちに協力させられただけだと直樹に言い聞かせます。しかし、直樹が、自分の血をコンビニエンスストアでまき散らしたあと、直樹の口から、娘は直樹の目の前で目をさまし、それでも、直樹は娘をプールに投げ込んだことを聞かされます。直樹は、修哉から「できそこない」と言われ、修哉ができなかったこと(=殺人)を自分はできたと満足したいために、娘をプールに投げ込んでいました。母親は「直樹はもう直樹じゃない。やさしかった直君はもういない」と語り、直樹と心中するために、包丁を持って直樹の部屋に行きました。しかし、「できそこない」と直樹に告げた修哉の影がちらついて発狂し、逆に、母親を殺しました。

 いっぽう、修哉は、「修哉のことなら何でもわかるよ」と言い、家族を薬品で殺した「ルナシー」と呼ばれる13歳の少女を「ルナシーはもう一人の自分」と語った美月へ「バカなんじゃない」と言います。美月は修哉を、自分を捨てて離婚した母親に振り向いてもらいたいけど会いに行く勇気もない「マザコン」と呼びました。修哉は美月を殺しました。

 修哉は、母親に会いに行ったが後ろ姿だけを見て帰りもっと大きなことをしなければならないと確信したという告白を録画し、自分のホームページにアップしました。コンクールで入賞した「命」という作文を全校生徒の前で読み、読み終わったらスイッチを押して、生徒達を巻き添えにして、教壇に仕掛けた爆弾を爆発させることにしました。しかし、爆弾は森口が取り外していました。森口は修哉の携帯に電話をかけ、爆弾が入ったかばんは修哉の母親に渡してきたと、作文を読み終えてスイッチを押しても何も起こらなかった修哉へ告げます。また、森口は、美月へは、相談という名目で度々会っていた新しい担を「取り込み」、いじめを助長させていたことを話していました。修哉と直樹が殺されるか、自殺すればいいと思っていたが、いじめがなくなったと聞き「意外とやさしんですね。あなた方」と美月へ語っていました。

 生徒を巻き込んだ自殺に失敗した森口は、修哉へ、修哉の告白を録画した映像に「うそ」があることを指摘します。森口は修哉が母親の研究室を訪問する様子を見ていたことを告げ、実際は修哉は母親には会えず、また、母親の再婚を知ったことを聞かせました。森口は、修哉の母親に会いに行き、修哉の母親は修哉のことを忘れておらず、また、爆弾を作り、爆発させるスイッチを押したのは「あなたです」と告げます。「これが私の復習です。本当の地獄。ここからあなたの更正の第一歩が始まるんです。なーんてね」という森口のせりふで映画は終わります。

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映画「告白」の感想


 「告白」を見終わって、「心」というものを考えました。

 物語が始まる直接のキッカケは、娘を殺された森口の怒りなのですが、修哉には両親の離婚と母親との別離という出来事があり、直樹の母親は過保護でした。森口は、一見すると、牛乳にHIV感染者の血を混ぜたり、爆弾を修哉の母親の研究室に置いてきたりと、「復習」に燃えた行動を取るのですが、ただ森口本人がそう言っているだけで、美月は森口は血液を混ぜてはいないと言い、ラストの研究室が爆発する場面も修哉の想像の映像と解釈すれば、本当に研究室が爆発したのかは不明です。森口は実は体育館の側におり、それでいて、修哉へは私にも「どかん」という音が聞こえたことを告げました。しかし、体育館の側にいた森口に聞こえていたなら、体育館の中でも聞こえていたような気がします。森口の「ここからあなたの更正の第一歩が始まるんです」というせりふも意味深。森口は、本当は、血液を混ぜていなくて、爆弾もしかけていないような気もしましたが、娘の「事故」の真相を知って、2人を「殺したい」と思ったことはほんとうだろうと思います。

 しかし、そういった「真相」や「真実」がどこにあるのかという点や、分かりやすい問題を抱えている修哉や直樹よりも、美月が「先生、信じられますか。こんなにも明るい笑顔に包まれています」と表現した、顔も心も見えない、クラスのその他大勢の生徒たちの「心」に思いを馳せました。美月は、「バカ」になっているだけと語りましたが、時間がたって冷静になってからクラスで始まったいじめや、ポイントの加算を楽しむ様子から、本当に怖いのは顔が見えない人間が行う「悪」、心が見えない人間が行う「悪」なのかもしれないと思いました。美月は、クラスでただ一人、いじめに加わらなかったのですが、裏を返せば、美月以外の全員はいじめに加わったということです。

 「告白」には、森口の物語、修哉の物語、直樹の物語、美月の物語などがありますが、映画の中では語られない、その他大勢の見えない「顔」や「心」を描いた物語でもあるのかもしれないと思いました。


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