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「星の王子さま」のあらすじと読書感想文

2011年8月30日 竹内みちまろ 参照回数:


 『星の王子さま』(サン=テグジュペリ/河野万里子訳)を読みました。『星の王子さま』は、聖書の次に読まれていると言われるベストセラーで、著者のサン=テグジュペリはパイロットでもあり、『夜間飛行』などの著書も知名です。

星の王子さまのあらすじ


 『星の王子さま』は6年前にサハラ砂漠に不時着し、生還したパイロットの回想です。献辞の冒頭で、この本を一人の大人に捧げることを子どものみなさんは許してほしい旨が書かれています。「おとなだって、はじめはみんな子どもだったのだから。(でもそれを忘れずにいる人は、ほとんどいない。)」

 「僕」は6歳だったころに最初に描いた絵を持ち歩いています。大人からはわかってもらえず、説明しても興味を示してもらえなかった絵です。「僕」はそのことがあって絵をあきらめました。大人になった「僕」は、心から話ができる人もいないまま、単独飛行をしていた際、サハラ砂漠に不時着しました。1週間分の飲み水しかなく、修理をやり遂げるしかないと覚悟を決めました。

 最初の晩、寝静まった夜明けに、「おねがい……ヒツジの絵を描いて!」という声で起こされました。不思議な雰囲気をした男の子が立っていました。「僕」は「絵は描けない」と告げますが、男の子は「僕」が最初に描いた絵をあたりまえのように理解して、「僕」を驚かせました。

 男の子は、王子さまで、一軒の家より少し大きいほどの大きさの星が故郷でした。一年前に星から砂漠に落ちて、旅をしていました。王子さまは、星全体を覆ってしまう樹木バオバブを心配していたり、星が小さいので数歩歩くだけでいつでも見ることができる夕日を一日に44回見たり、花から「行くって決めたのなら、もう行って」と送り出された話などをします。

 王子さまは、宇宙を統治するという王様がいる星、大物気どりの男が住む星、酒びたりの男の星、星たちの持ち主だという実業家の男がいる星、ガス灯が1本あり、点灯人が一人いるだけの星を巡っていました。地理学者が本を書いている星で「地球を訪ねなさい」と言われていました。

 砂漠に降り立った王子さまは、ヘビや花に会い、高い山でこだまを聞き、バラの花の咲く庭園を見かけ、キツネから別れ際に「じゃあ秘密を教えるよ。とてもかんたんなことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目には見えない」ことや、「人間たちは、こういう真理を忘れてしまった」ことを聞きます。

 王子さまから鉄道員や物売りの話を聞き終えたとき、「僕」が不時着してからちょうど1週間がたちました。水がなくなりました。「僕」と王子さまは井戸を求めて歩きだします。王子さまは「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を、ひとつかくしているからだね……」と告げ、「僕」は「家や、星や、砂漠を美しくしているものは、目には見えないね!」と答えます。眠ってしまった王子さまを抱きかかえながら、夜明けに、井戸にたどり着きます。

 人間たちの不思議さが語られたあと、王子さまが、地球に落ちてきて明日で1年目になることが語られます。王子さまは、落ちた地点へ戻る旅の途中でした。王子さまは、「僕」に、星空を見上げたらそのどれかで自分が笑っているから、「僕」には、「誰も持っていないような星」「笑う星々」をあげるといいます。

 その夜、王子さまは音もたてずにこっそりでかけます。気がついた「僕」があとを追います。「ここだよ。あとはひとりで行かせて」「ほくはあの花に責任があるんだ!」などという王子さまの足首の辺りに黄色い光が走り、王子さまは、ゆっくりと砂漠に倒れました。

 6年間、誰にも王子さまの話をしなかったという「僕」から、王子さまが倒れた翌朝には王子さまの姿が消えていたことが語られました。

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星の王子さまの読書感想文


 『星の王子さま』は、一見すると、童話といいますか、ファンタジーのように思えます。しかし、読み終えると、なんとも言えない悲しさのようなものが伝わってきました。作中にも、「僕はこの物語を、ほんとうはおとぎ話のように始めたかったのだ」「こうして思い出を語るのも、ほんとうはとてもつらい。僕の友だちがヒツジとともに行ってしまってから、もう六年になる」とあります。「ほんとうは」子ども向けのファンタジーにしたかったのですが、そうはできない何かが、作者の心の中にはあったのだろうと思います。

 王子さまは純粋な心を持っています。「僕」もかつては同じものを持っていました。しかし、大人になる術、生きる術として失ってしまっていました。しかし、大人になっても本当に信頼しあえる友人がおらず、サハラ砂漠から生還しても悲しみにくれている「僕」を仲間たちは「いや、疲れているだけさ……」とむしろよろこんでいました。そして、6年間も誰にも語らなかった話を、特定の誰かに告げたり、ファンタジーにしたりするのではなく、物語として不特定多数の「子どもたちへ」語ることを選びました。話をしても理解してくれる人たちが周りにいない孤独、あるいは、話しても伝わらないことが理解できてしまう孤独、そしてそれでもなお、誰かに伝わることを願って語らずにはおられない孤独というものを感じます。それは、「僕」の孤独でもあり、「ひとりで行かせて」という王子さまの孤独でもあるような気がします。

 空へあこがれ、偵察飛行に出て帰らぬ人となったサン=テグジュペリの詩人としての孤独、芸術家としての孤独、そして、人間としての孤独のようなものが、『星の王子さま』の根底には流れているのかもしれません。


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