2017年6月21日 13時40分 参照回数:
成徳ロマンス(東京成徳大学) (写真:竹内みちまろ、2017年6月11日、新宿ReNYにて)
2017年6月11日。気持ちの良い初夏の日差しの下、たくさんの人が行き交う新宿で「UNIDOL2017 Summer supported by
MARUCHAN QTTA 関東予選」というイベントが開催された。ユニドルとはユニバーシティ+アイドルの造語。なんと、女子大生たちがアイドルの振りコピを披露する大会なのだ。アイドルのパフォーマンスをコピーして再現する振りコピは、イベントの出し物などでたまに目にすることもある。けれどこの振りコピに驚くほどの熱量で挑んでいる女の子たちがいることはほとんど知られてない。
アラサーOLの私。自分が学生だった時のことを思い出すと、アイドルのファンのイメージは随分変わった。かつてはアイドル好きといえばマニアックで熱狂的な男性を想像したが、ここ10年ほどでアイドル業界は激変。インターネットやSNS、動画投稿サービスなどの影響で今まではほんのひとつまみの人しか立てなかったはずの舞台へ自力で上がれるようになり、自己表現の場として活用する子も出現。今回イベントに参加している女子大生たちはそんな新しい時代のアイドル像に触れて育ってきた世代なのだろう。
会場に着くと、すでに観客でびっしり。モッシュやダイブがあるかもと警戒しながらステージの最前列へ向かうも、同じ大学のお友達や家族らしき人の混じるアットホームな雰囲気がそんな心配を消した。
各大学ごとに3曲から4曲ほどを披露。選曲や衣装はそれぞれの個性が光る部分だ。どのグループも共通しているのは、「とにかくアイドルが好きで好きで仕方がない」という気持ちに溢れていること。バックスクリーンには動画が映し出されるのだが、それがアイドル風のメンバー紹介だったりミュージックビデオ風だったり、細部まで憧れのアイドルに見事になりきってる。
すべての出場者達が予想よりはるかに高いクオリティ。だが、そのなかでも特に記憶に残った2つのグループをご紹介したい。
まずは、圧倒的なパフォーマンスを見せてくれた上智大学のSPH mellmuse。衣装や髪型はどう見てもプロのクオリティ、ダンスは全員綺麗に揃っている。さらに驚かされたのは、ステージ構成の良さだった。可愛い曲からちょっと大人っぽい曲までバランスよく選曲。踊るメンバーも最初から最後までフルメンバーにせず曲にあわせてチェンジしていく。曲のつなぎ目は自然に入り込めるよう美しいフォーメーションで交代していくので違和感が一切ない。きっと日頃からライブやDVDで色んなステージを見ているのだろう。アイドルの魅力って本人だけじゃなく、世界観もひっくるめたものなのだ!と思わされた。
そして東京成徳大学の成徳ロマンス。ふわふわ可愛い楽曲と衣装で王道のアイドル感を詰め込んだステージは、とにかくメンバー全員が楽しそうな姿が印象的だった。普段は普通の女の子たちだから慣れないステージに内心は緊張していたかもしれないが、笑顔からもダンスからも心から憧れのアイドルになりきっている。そんな姿を見ていると、こちらまで晴れ晴れした気持ちになってくる。アイドルの歌から元気をもらってきた彼女たちだからこそ表現できるものなのだろう。
ユニドルの輝きは大学生時代のほんの一瞬だ。多忙な学生生活の中で、勉強にバイトにと色々な時間の合間を縫っての活動である。アイドルに憧れアイドルに励まされてここまで駆け抜けた出場者たちは、観客に元気と希望を与えてステージを降りればまたいつもの生活に戻る。その僅かなひとときの貴重なステージだから、強い光を放つのかもしれない。
憧れや好きだけで終わらせない彼女たちの可愛さと強さに励まされる一日となった。(アイザワ ハナ)
女子コラム