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映画『蛇にピアス』吉高由里子のあらすじと感想(ネタバレ)

2013年4月7日 竹内みちまろ 参照回数:

映画『蛇にピアス』
監督:蜷川幸雄監督
出演:吉高由里子、高良健吾、ARATA、あびる優、ソニン/特別出演:市川亀治郎、井手らっきょ、小栗旬、唐沢寿明、藤原竜也
製作:2008=日本)

蛇にピアスのあらすじ(ネタバレ)


 19歳の「ルイ」こと中沢ルイは、渋谷のクラブで、18歳の「アマ」こと雨田和則から「スプリットタンって知ってる?」と声を掛けられます。スプリットタンとは、ピアスと糸を使って、舌の先をトカゲのように2つに割く「身体改造」ですが、アマは、兄貴分の入れ墨師の「シバ」こと柴田キヅキの店に、ルイを連れて行きます。

 ルイはアマの部屋で暮らすようになります。ルイは、舌を割くために(後半ではアマに「いいね」って喜んでもらうために)舌のピアスのサイズをどんどん大きくしていきます。また、シバに、龍と麒麟の入れ墨を背中に彫ってもらいます。入れ墨は何回かに分けて彫りましたが、シバの店を訪れるたびに、ルイは、「Sの血が騒ぐ」というシバから、首を絞められたり、後ろ手に縛られたりされながら、セックスをします。

 アマが、アルバイト先の古着店を出てから、行方不明になりました。アマは以前、ルイにからんできた暴力団員を殴り殺していました。取り乱したルイは、シバといっしょに警察に捜索願を出します。横須賀で、背中に龍の入れ墨がある男の死体が発見されたという連絡を受け、死体安置所へ行きます。全身にたばこを押し付けられ、爪を全部剥がされ、陰部にお香を差し込まれ、犯され、拷問されたアマの死体がありました。

 ルイは、入れ墨の龍と麒麟には、飛んで行っちゃうからという理由で、瞳を入れないでもらっていました。が、シバに頼んで、「私自身が命を持つために」、龍と麒麟に瞳を彫ってもらいました。シバの店で、アマの死体から検出されたのと同じお香が焚かれているのを見て、店を飛び出し、別のお香を買って帰ってきます。

 ルイは、「大丈夫。アマを殺したのがシバさんであっても、アマを犯したのがシバさんであっても、大丈夫」と確信しました。

蛇にピアスの感想


 蛇にピアスは、映像が印象的でした。もちろん、顔中に装飾具をつけ、全身に入れ墨を彫っているシバやアマ、そして、縛られるために自ら後ろ手に腕を差し出し、そのまま椅子を跨いで座るルイの姿は、ビジュアル的にインパクトがありました。ただ、心に残ったのは、冒頭とラストで映される手持ちカメラの街の風景と、ルイの心に中に浮かび上がる幻想(?)風景でした。

 ルイは、シバに入れ墨を彫ってもらうことを頼むためにシバへ目を向けると、シバから首を絞められ、犯される場面が浮かびます。シバが、男でもいけることを話すと、アマを抱くシバの姿が浮かんできます。それらの映像は、心の中にいるルイが、ルイ自身を含めた人間達を、別の場所から覚めた目で見つめるいのアングルなのですが、その映像を見つめているルイの瞳は空虚で、いうなれば、空っぽな瞳で見つめているようにも感じました。

 しかし、瞳を入れた龍と麒麟の映像は、そういった空っぽな映像とは違い、理屈では説明できないのですが、命を感じました。また、ラストシーンは、街の風景が映された後に、夜の街を独りで歩くルイの顔が正面から映されるのですが、そのときのルイの瞳も印象的でした。空っぽな瞳ではない、命のこもった瞳でルイは何を見ているのか気になります。何もかもが、ぜんぜん、「大丈夫」ではないのですが、それでも、「大丈夫」と確信するルイの姿は、言葉では説明できない説得力を持っていました。

 アマを殺した犯人はシバなのか、なぜ「大丈夫」なのか、ルイはどうなるのかなど、何も描かれずに終わる作品でした。でも、そういったことを描いてしまったら「蛇にピアス」という作品のよさは失われてしまうのかなと思いました。アマの純粋なやさしさを懐かしみ、なぜ私の元から消えてしまったのと泣き叫びながらも、それでも、ルイは「大丈夫」と確信し、うずくまってはしまうのですが、それでも真っ直ぐに前を見つめるルイの姿を描く結末は、いろいろなことを考えさせられました。


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