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母親失格/美奈子のあらすじと読書感想文

2013年11月28日 竹内みちまろ 参照回数:


 テレビ番組『痛快!ビッグダディ』出演からブレイクした6人の子どもを育てるシングルマザー・美奈子さんの『母親失格 それでも、子どもが強く明るく育つ理由』を読みました。

 あらすじといっても、美奈子さん流の子育て論が書かれたエッセイなので、ストーリーがあるわけではありません。子どもたちと生活する際の考え方がつづられ、時折、回想が語られます。美奈子さんは16歳で長男の星音君(しおん・14歳)を妊娠・出産していますが、美奈子さんは父親や元夫から殴られ続けて生きて来たため、「殴られることがいけないことだとか特別なことだとは、正直わかっていなかった」そうです。そんな壮絶な半生を送ってきた美奈子さんですが、幼稚園に通っていた星音君の心が壊れていく様子を目の当たりにし、「あれ、コイツの目つき、なんかおかしいな」と思い始めたとのこと。「そりゃそうですよね。お母さんがお父さんにボコボコに殴られているのを見て、平気でいられるわけがない」と気が付き、離婚を決意したことなども記されます。

 美奈子さんはよく、「若いのに6人も育てていて、大変じゃないですか?」と聞かれるそうです。美奈子さんは、「そもそも“子育て”してないから、悩みもないし大変だとも思わないの。母親らしいことといえば……産んだくらい(笑)」と笑います。また、美奈子ファミリー(美奈子+6人の子どもたち)は、「完全に平等」で、掃除、洗濯、炊事、1歳11か月の五女・蓮々ちゃん(れんと)の世話も含めて家族全員が助け合いながら成り立っているようです。美奈子さんいわく「役割分担はあるけれど、上限関係がないのが美奈子ファミリーの基本ルール」。美奈子さん自身は、「人間としてはがんばるけど、親としてはがんばらない」ことにしているそうです。美奈子さんが「“親子”だから仲よくするんじゃない。“親子”だから愛しているんじゃないの。一対一の人間同士として真剣に接することで、愛情も信頼も芽生えるんだと思う」と考えるに至った背景には、父親から暴力を受け続け、美奈子さんを助けなかった母親はやがて家事や美奈子さんたちの面倒の一切を放棄してしまったという家庭環境があるようです。また、母親が家事を放棄したあと、美奈子さんは弟と助けあうようになり、その経験から、子どものころから兄弟姉妹にいっしょに家事をやらせることに価値を見出していました。

 『母親失格』には、美奈子ファミリーの様子も記されていました。出がけに子どもたち全員に「家の中を掃除しておいて」と言い残し、戻ると、星音君の部屋だけがきれいになっていたことがあったそうです。美奈子さんは、星音君に、「あたしはみんなに頼んだの。あたしはリビングが汚いことを怒ってるんだよ。おまえ(星音)は、自分の部屋だけをきれいにしてやった気になってるけど、リビングが汚いことはおまえにも責任があるんだよ」と言い聞かせたことが紹介されていました。また、長女の乃愛琉ちゃん(のえる・12歳)に洗濯ものを干しておいてと頼んだのに干していなかったさいの会話が、

 あたし「なんでしなかったの?」
 乃愛琉「面倒くさかったから」
 あたし「えっ? 誰に向かって言ってんの?」
 乃愛琉「……」

 などと紹介されています。その上で、美奈子さんは、美奈子さんが外で働いているため、乃愛琉ちゃんが洗濯ものを干さないと、明日みんなが臭い衣類を着なければならないことを言い聞かせるそうです。「怒るのではなく教える。叱るのではなく説得する。そうすれば二度と同じ悪さはしなくなる」とのこと。その際は、「『〜だよね?(返事を求める)わかったなら、〜できるよね?(また返事を求める)』という感じで、最終的には『YES』と言わせることがポイントです。命令されてやっているのではない。自分が納得したうえでやっていると思わせることが大事だと思う」と記していました。

 「母親失格」を読み終えて、「母親失格」の内容や、美奈子さんの考え方をどう受け止めるのかは人それぞれだと思いますが、美奈子さん自身が「母親に不向き? かもしれない。でも、子どもたちはみんな元気に生きてるじゃん。育ってるからOKでしょって思う」と楽天的なところが印象的でした。ただ、そう思うまでには苦労があったようで、四女の妃翠ちゃん(ひすい・6歳)を妊娠しているとき、このままだったら夫の暴力でお腹の子まで殺されると思ったことや、敬遠していた役所に行ったエピソード、母子寮や生活保護などについても記されていました。現在は、「あたしは、やりたいことはやります。刺青を入れたり、介護の勉強をしたりという大きな決断もあれば、ジムやネイルなど自分がリフレッシュするためにやることもある」とのことで、一時ほど、思いつめた生活は送っていないようです。

 また、ビッグダディこと林下清志さん一家と小豆島で暮らした2年間も振り返っていました。清志さんは、「出産と母乳以外はすべてパーフェクトにできますから(笑)」と、ビッグダディの子育てぶりに舌を巻いていました。「逆に清志さんは何でもやりすぎて、あたしの入る余地がなかったのが、離婚につながったのかなっていまは思います」とも。また、「あたしが前の奥さんと子どもたちの写真が入っている写真立てを壊した疑いをかけられる事件」についても触れていました。清志さん一家と小豆島で暮らした間は、美奈子さんの子どもたちはさみしい思いをしたかもしれないとのことでしたが、「子どもたちに申し訳ないと思ったことはない。あたしの子どもとして生まれたからには、あたしの人生を受け止めてほしい」とつづっていました。

 美奈子さん自身は外に出て働くことが好きで、現実問題として美奈子さんが外で働かないと食べていけないため、そのことを子どもたちに伝え、「あたしが気持ちよく働けるように、お願いだから助けてくれる? あたしがいないときでも、協力し合ってわが家をまわしてくれる?」と頼んでいるそうです。結果、ご飯を炊く担当の乃愛琉ちゃんは、炊飯釜のメモリを見なくてもドンピシャの水の量を残すことができるとのこと。おかずは、大皿にドーンと出して食べる方式ですが、お皿やお箸の用意なども子どもたちの仕事で、美奈子ファミリーは今日も生活しているようです。

 「母親失格」には上記で紹介したほかにもたくさんのことが紹介されていて、テレビやネットで大人気の美奈子さんってこんな人なんだ、あるいは、こんなこと言っている美奈子さんだけと子どもたちはこんな様子なんだということがわかります。まさに“ハダカの美奈子ファミリー”的な一冊で、美奈子ファンにはお勧めです。


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